ピザボーイ 史上最凶のご注文

ピザボーイ 史上最凶のご注文 “30 Minutes or Less”

監督:ルーベン・フライシャー

出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アジズ・アンサリ、ダニー・マクブライド、
   ニック・スウォードン、マイケル・ペーニャ、フレッド・ウォード、
   ディルシャッド・ヴァザリア、ビアンカ・カジリッチ

評価:★★




 ジェシー・アイゼンバーグの口から飛び出る言葉はキラキラしている。…と今さらながらに思う。大抵の場合、早口で捲くし立てられる言葉が、まるで陶器のように艶々している。言葉が溢れ出すときのアイゼンバーグは本当に楽しげだ。言葉に命を与える喜びを隠そうとしない。「ソーシャル・ネットワーク」(10年)の中毒性は、編集の巧みさもさることながら、アイゼンバーグの台詞回しによるところも大きかったのだ。アイゼンバーグのそれは良くできたラップに通じる、独特のリズムがある。

 『ピザボーイ 史上最凶のご注文』はアイゼンバーグとルーベン・フライシャーが組んだコメディだ。この組み合わせと言ったらもちろん、「ゾンビランド」(09年)だ。あのオフビートにぶっ飛んだ可笑しさをどうしたって期待するのだけれど、これが期待ハズレもいいところ。一向に画面が弾けない。いや、それどころかどんどん湿っぽくなる。キャストが笑いを取りに行けば行くほどに、冷徹な風が吹く。

 ドラマとコメディのバランスが完全に崩れている。実際の犯罪事件を基にしているそうで、それが思い切り喜劇に走れなかった原因だろうか。二人組のチンピラがピザボーイに爆弾を装着、代わりに銀行強盗させるという話の中に組み込まれた残忍性にギョッとする。ピストルや爆弾、火炎銃。人は倒れ、悲鳴が響き渡り、血が流れ出す。「ゾンビランド」には残酷さを笑いに変える技があったけれど、ここではそれらがありのままに提示される。

 「ゾンビランド」ではウッディ・ハレルソンの存在も大きかった。どれだけ過激な描写でも、ハレルソンの狂気を内包したファンキーな佇まいがそれを吹き飛ばしていたではないか。ダニー・マクブライドとニック・スウォードンがハレルソンの代わりを務めているものの、下品で暴力的、かつ幼稚以外の表情を見せない。ボンクラなところは個性にならず、作品のスピードを殺すだけ。

 この二人組に脅されるというのでは、そりゃアイゼンバーグにできることは限られる。アジズ・アンサリ扮するインド人の友人がくすぐりを入れようと頑張っているものの、甲高い声で喚くぐらい。オタク系同士のケミストリーもない。アンサリの双子の妹も何もせずに誘拐されるのみ。アイゼンバーグの喜劇センスはおそらく、相手役によって面白具合が全く違う。陶器の言葉を受け取る器が用意されないと、「早口の童貞坊ちゃん」以上に広がりを見せない。いや、ここでは童貞じゃないらしいけれど。

 終幕になると、チンピラの父親や殺し屋まで絡んでの騒動となる。いよいよ話が明後日の方向に暴走する。役者たちもどうしていいか分からず、右往左往。笑えないし、スリルもない。もちろんドラマも見当たらない。忘れた頃になると出てくる映画ネタがやたら虚しい。





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