マノレテ 情熱のマタドール

マノレテ 情熱のマタドール “Manolete”

監督:メノ・メイエス

出演:エイドリアン・ブロディ、ペネロペ・クルス、
   フアン・エチャノヴェ、アン・ミッチェル、ルーベン・オチャンディアーノ

評価:★★




 エイドリアン・ブロディはなんでまた闘牛士を演じようと思ったのだろうか。察するに、暗くどんよりした自身のイメージを変えたかったのではないか。闘牛士ならではの煌びやかな衣装に身を包み(ブロディの衣装は全身ゴールドだ)、派手なパフォーマンスで陰の気を吹き飛ばそうじゃないか。でもダメ。全然ダメ。似合わないんだもの。衣装がどれだけ派手になっても眉間のシワは消えない。極端な八の字眉毛も変わらない。ジトッとした視線の粘着性もとれない。身体つきもそれらしくない(とりわけ尻にボリュームがないのがイカン。衣装までチープに見える)。頑張れば頑張るほどいんちきマジシャン風になるのはなぜ。

 ブロディ演じる男はマヌエル・ロドリゲス・サンチェスという名だ。多くの人からマノレテと呼ばれている。スペインの国民的闘牛士で、生涯1,590頭もの牛と対戦したのだという。彼は闘牛の戦いでミスを犯し、31歳の若さでこの世を去る。『マノレテ 情熱のマタドール』はその彼の晩年を中心に描く。…と言っても、その仕事ぶりは念入りには探られない。物語が伝えるのは、マノレテの恋だ。彼は女優や歌手として活動しながらほとんど娼婦まがいの仕事もしているルペ・シノに熱烈に惹かれる(ペネロペ・クルスが柄に合った演技)。

 これが辛気臭いのにマイッてしまう。ブロディの個性によるところも大きいものの、それだけが理由ではない。唇を重ねても体温は伝わらない。口から出るのは熱のない言葉。誰もが細々とした喋り。身体を重ね合わせているときでさえも、なんて辛そうなのだ。快楽はどこ。作り手はどうやらこれを、芸術的だと捉えているらしい。

 恋は三角関係に向かう。ただし、人間の好敵手が現れるわけではない。マノレテは女を深く愛しながら、「死」というものに強烈に惹かれていく。彼には“死を恋い慕う気持ち”があり、これが闘牛士の資質にピッタリらしい。生に執着してはいけない。つまり女を深く愛してはいけない。それなのに女を愛してしまったがゆえの苦悩。これがいちばんのドラマ…らしい。俺はお前を愛している。でも死の匂いも忘れられないんだ。この危うさがちっとも伝わらないのは結局、登場人物の表層を撫でているに過ぎないからだろう。ほとんど自己陶酔的な男。女と死を天秤にかける俺ってカッコイイぜ…みたいな。背景のギターも自分で弾いてるんじゃないか?

 闘牛場面に力が入れられないのは拍子抜け。観客や関係者はその技術と無謀さにやたら驚いているものの、観ている方が悪いのか、その凄さがまるで伝わらない。素人でもできそうに見える。赤い布で牛をかわす場面ばかりだからだろうか。そもそも闘牛場面は数えるほどしかないのだ。本当にマノレテである必要があるのか首を傾げる。

 画面の色調はほとんど唯一、感心したポイントだ。情熱の赤の主張が楽しいし、青や黄色は白と美しいコントラストを魅せる。スペインならではの独特の色遣い。物語と関係ないところで興奮を誘うのだから、色のパワーは侮れない。





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