ターゲット

ターゲット “Wild Target”

監督:ジョナサン・リン

出演:ビル・ナイ、エミリー・ブラント、ルパート・グリント、
   ルパート・エヴェレット、アイリーン・アトキンス、マーティン・フリーマン、
   グレゴール・フィッシャー、ジェフ・ベル、ロリー・キニア

評価:★★★




 基になっているフランス映画「めぐり逢ったが運のつき」(93年)を観たのは、随分前になる。記憶しているのは今は亡きギョーム・ドパルデューが初々しかったことぐらいだろうか。物語の細かいところは覚えていない。リメイクである英国映画『ターゲット』を観ると、それも仕方ないことではないかと思う。キャラクター主導の作りになっていて、物語を追いかけるのが重要ではないからだ。

 主人公の殺し屋は業界で最も高額なギャラを手にする男。仕事も一流のはずなのに、オウムに名前を覚えられる。母に頭が上がらない。誕生日プレゼントは殺した相手を報じた新聞の切抜き。暇があるとフランス語を練習。盆栽が趣味。これをビル・ナイが演じるのだから、当然すっ呆けた味が出る。しかも彼はターゲットである女詐欺師に恋をしてしまう。そこに偶然事件に巻き込まれたちゃらんぽらん青年や、ツメの甘いギャング、新たに雇われた業界二番手の殺し屋が絡む。要するに間の抜けた連中が集まる。

 『ターゲット』はこの面子を遊ばせる。間の抜けた連中に掛け合いをさせることで、バカになるところを回避する。目指すは「小粋」というヤツだ。頭が良くなければ務まらないような仕事をしている者たちばかりなのに、事件が一向に締まらない。締まらないけれどしかし、そこにはなんだか仲間に混ざりたくなるような愉快な気分が溢れている。死が隣り合わせにあるような危険な状況でも、緊張感はない。頬が緩む。舞台となるホテルやナイの自宅の内装も軽やか。確かに「小粋」な匂いが浮上する。

 ナイのいかにも英国紳士的な佇まいやルパート・エヴェレット演じるギャングの優雅なシルエットも見ものだけれど、最も目を引くのはターゲット役のエミリー・ブラントだ。ポップミュージックに乗せて自転車で街中を走るところから快調。コケティッシュを絵に描いたような魅力を振り撒くブラントは、詐欺の成果なのか、おめしかえが頻繁なのが嬉しい。初登場場面の真っ赤なコートとミニスカートのコーディネートから着せ替え人形状態。髪型のアレンジも自在で、ショートブロンドのウィッグを装着する場面もある。ナイが惚れてしまうのも無理はない。

 ナイやブラントのじゃれ合いの中に浮かび上がるのは、人生は安全運転では退屈だということ。これをセリフで言わせてしまったのはつまらないところで、「小粋」の枠からも随分はみ出してしまったものだと落胆する。ただ、もっと腑に落ちないのは、ナイとブラント、そしてナイの弟子となるルパート・グリントの関係が、家族愛に通じるものに流れてしまう点だ。前半にあれだけ念入りに描き出したキャラクターの細部が、これで一挙にぼやけてしまう。変に物語性を意識した結果だろうか。

 他にも、グリントがブラントに欲情しないのはおかしいだとか、ナイの殺し屋の一流技をもっと見たかっただとか、エヴェレットの出番が後半激減するのが惜しいだとか、ナイの母親を演じるアイリーン・アトキンスの動かし方が都合良いだとか、問題は多い。でも後々まで気になるほどではない。だから余計に「家族愛」臭が引っ掛かる。作品が目指しているところと、対極にあるものだと思うのだけれど…。





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