マーガレットと素敵な何か

マーガレットと素敵な何か “L'âge de raison”

監督:ヤン・サミュエル

出演:ソフィー・マルソー、マートン・ソーカス、ミシェル・デュショーソワ、
   ジョナサン・ザッカイ、エマニュエル・グリュンヴォルド、
   ティエリー・アンシス、ジュリエット・シャペイ、デボラ・マリク

評価:★★




 どうやらソフィー・マルソーは年をとるのを止めたらしい。目尻のシワや目の下の弛み、頬のこけ方に若干の年齢を感じさせるものの、そこいらの同年齢の女たちと較べたら恐ろしいキープ力だ。フランス女優はエマニュエル・ベアールだとかオドレイ・トトゥだとか加齢を止める人が多くて、マルソーもその例に漏れなかったわけだ。ただ、少女メルヘンの世界に飛んでいってしまったイザベル・アジャーニのレヴェルにはまだない。いや、あそこまで行ったらサイボーグか。

 『マーガレットと素敵な何か』のマルソーは、泣いて笑って怒ってと忙しい。目を真ん丸くして、洪水のようにセリフを吐いて、身体も張る。目指すはお茶目さのアピールだ。40代の役柄だけれど、「私ってまだこんなに可愛いの」と強調する。その表現法は自分の可愛さを知っている人のそれで、ほとんど苦笑してしまうほど。でも実際愛らしいのだから仕方がない。特に笑い顔なんて、「ラ・ブーム」(80年)の頃と同じ。あれから30年も経っていることを考えると、なかなか感慨深い。

 そう、物語も演出も、マルソーを可愛く撮ることに全てが捧げられている。キャリアウーマンとして分刻みのスケジュールに追われているヒロインの元に、7歳の頃の自分から手紙が届く。それをきっかけに自分を見つめ直すというのは、丸っきり少女漫画だ。幼い頃の私ってどんなだっけ?夢って何だったかしら?記憶を辿りながら忘れていた本当の自分を思い出す。ヒロインと同じことができる人はそうそういないだろう。でもやっちゃう。やっちゃった方が可愛いから。

 多分雑貨屋好きの人には堪らない画面なのではないか。手紙を読む場面を筆頭に、カードや切抜きをふんだんに用いた、やはり少女趣味のアイテムを装飾した画面がてんこ盛り。その中ではマルソーがコスプレまで披露しちゃう。なんせホレ、私ってお茶目だから。

 これが大人っぽい少女漫画だったら良かった。ジャン=ピエール・ジュネが得意とするような、どこかに毒が混じってそうな匂いがあったなら、思わず身を乗り出したかもしれない。ところが惜しいことに、ここにあるのは甘ったるさだけだった。赤面する場面の方が圧倒的に多い。可愛さの質にセンスが感じられない。

 ただ、「今」を否定するだけの結末でないのにはホッとした。ヒロインは自分を思い出し、そして今の自分も受け入れる。過去に助けられはするけれど、美化することはしない。

 それから、ヒロインがここぞというとき理想としている女たちをイメージするというのは気に入った。グレタ・ガルボにエヴァ・ガードナー、ココ・シャネルにマザー・テレサ。他にもシチュエーションに合った女たちが次々イメージされる。自分を奮い立たせる魔法の呪文。勝気さに裏打ちされた、人知れない秘密が愛らしい。マルソーにもピッタリだ。





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