インモータルズ 神々の戦い

インモータルズ 神々の戦い “Immortals”

監督:ターセム・シン

出演:ヘンリー・カヴィル、ミッキー・ローク、フリーダ・ピント、ジョン・ハート、
   スティーヴン・ドーフ、イザベル・ルーカス、ルーク・エヴァンス、
   ケラン・ラッツ、ダニエル・シャーマン、ジョセフ・モーガン

評価:★★★




 どういうわけだかハリウッドはギリシャ神話ブームだ。ゼウスやポセイドンらお馴染みの面々を取り上げたアクション映画が次々作られている。子どもの頃から慣れ親しみ好んできた者としては、あの世界に光が当てられるのは嬉しい。何とも大雑把なハリウッドだけれど、でもまあ、キャラクターだけ借りて物語や人間関係はテキトーなのには目を瞑ってもいい。あの独特の世界の美しさを捉えた映像にしてくれればそれでいい。

 その点、『インモータルズ 神々の戦い』の監督がターセム・シンというのはなかなか気が利いている。インドから羽ばたいたこの監督、毎度画面作りに大変な力の入れよう。一度目にしたら焼きついて離れない画面をこれでもかと突きつけてくる。絢爛豪華なギリシャ神話の世界の描写を、きっと凝りに凝ったものにしてくれるだろう。

 果たして、その予感は的中する。スケール感たっぷりの美術。しわの寄り方まで計算された衣装。剣や弓も緻密に設計され、シンならではの様式美に貫かれている。例えば農夫という設定の主人公のそこいらに転がってそうな布切れで作ったような衣装ですら、美しく見える。その上、シンは撮り方も念入りだ。俯瞰ショットの入れ方もズームのタイミングも、細部を輝かせることに捧げられている。

 シンの設計した魅惑的な舞台の中心で輝くのは、テセウスを演じるヘンリー・カヴィルだ。シンはカヴィルの肉体に目をつける。これぞ理想のマッチョとでも言いたくなる均整の取れた身体が、圧倒的な迫力。筋肉のつき方が、全身において美しいのだ。最近のハリウッド・アクションで主演を張る若手は誰も彼もが鍛え上げているけれど、それとは比べ物にならない芸術性がある。共演俳優たちも鍛えているけれど、シルエットが全然違う。全くの別次元。

 カヴィルはマスクも精悍で、しかもマッチョでいながら暑苦しくない。同じチームの作品だという「300<スリーハンドレッド>」(06年。納得)では出てくる男たちが無駄に暑苦しく激昂するばかりで閉口したけれど、カヴィルはマッチョでも爽やか。汗かいてもフレッシュ。泥にまみれてもビューティフル。しかもそれは決してモデル的な爽やかさではないのだ。「漢」を感じさせながら涼しげな風をまとっている。

 さらにカヴィルはアクションもできる。実際の身体を動かしていることが確認できるシークエンスが多く、役者の生身の身体が動く魅力にはスタントは敵わないと痛感する。剣捌きも素手の戦いも魅せるものの、とりわけ弓を射る場面の美しさに魅入る。戦士が光に包まれる。

 神々たちが若手の美形で揃えられているのはシンの趣味なのだろうか。ルーク・エヴァンスやケラン・ラッツらが美貌を見せつける。カヴィルとは違い、彼らのアクションにはCGが多用されているのだけれど、これも浮き上がっていない。馴染んでいる。スローモーションや早回しも大変効果的に使われている。

 だから、あぁ、なぜ3Dなのだと嘆かずにはいられない。そうなのだ。これまで褒め上げてきたことの全てが、3Dにより魅力半減というバカバカしいことになっているのだ。何と言っても、3Dにすることで画面が過剰に暗い。夜の場面ならともかく、昼間の場面でも背景が白の場面でも薄暗くて、何が起こっているのか判断するのに一苦労。色も楽しめない。色遣いはシンの腕の見せ所だろうに、不幸なことだ。戦士の甲冑の腹を割らせ、乳首を装着して喜んでいる場合ではない(いや、ミッキー・ロークのカニクリームコロッケ風衣装を含め、無茶苦茶可笑しいんだけど。むしろ面白ポイント)。3D賛美はもういいだろう。そろそろハリウッドが気づいても良い頃だ。





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