パーティー・ナイトはダンステリア

パーティー・ナイトはダンステリア “Take Me Home Tonight”

監督:マイケル・ドース

出演:トファー・グレイス、アンナ・ファリス、ダン・フォグラー、
   テリーサ・パーマー、クリス・プラット、マイケル・ビーン、
   ジーニー・ハケット、ルーシー・パンチ、ミシェル・トラクテンバーグ

評価:★★




 80年代はバカにされがちだ。無理もない。金が羽根をはためかせて人から人へ渡り、人はそれを当然のこととして受け止め、企業はそれを高笑いしながら煽っている。大半が調子こいていた。簡単に言ってしまうなら、軽薄な時代だったのだ。でも、全てがダメだったわけじゃない。近年は再評価の空気も立ち上がっていて、映画界もそれに乗っかるように、80年代を意識した作品を作っている。アレ?なんか80年代もそれなりに良かった気がするぞ、みたいな。

 『パーティー・ナイトはダンステリア』は物語よりも人物よりも、1980年代という時代の描き込みに力が入られている。ホイットニー・ヒューストンやマドンナが登場、デュラン・デュランやモトリー・クルーが人気が人気を博しているとき。当時のヒット曲が次々流れ、若者たちはそれに合わせて歌い踊る。もちろん洋服やメイク、へアスタイルは流行が意識され、家のインテリアも気配を変えていく。庶民はプチ成金と化していた。時代の空気を表現するなら、やたらとギラギラチカチカしていたというのが的確だろう。恐ろしいことに、度が過ぎていればいるほどクールと受け止められた匂いすらある。真似したいかと聞かれたならば、間違いなくノー。小林幸子や美川憲一じゃなければ、大半の人が同じ答えだろう。

 80年代の再現こそそこそこできているものの、底を知らない空虚なるパワーを浮かび上がらせるのはあまり成功しているとは思えない。当時の風俗を見せる以外に術がなく、単なる郷愁に終わっている場面ばかりだ。物語に積極的に80年代の色が組み込まれていくこともないし、主人公が80年代的明るさを武器に状況を突破していくわけでもない。ゴールドマン・サックスの名前を出して喜んでいる場合ではない。

 主人公は所謂ヘタレ。大学を卒業しながら将来に目標が持てない青年。彼が高校時代の憧れの人に再会、何とか振り向かせたいとあの手この手で奮起するというのが物語の軸となっている。もちろん事はうまく運ばない。彼の行動を見ていると、モテない男の改善すべき点が色々見えてくる。遠くに彼女の姿を見つけるやいなや覚えていないふりをして顔を合わせ、向こうに最初に自分を気づかせるという不自然な出会いの流れもさることながら、別れ際にわざと彼女の名前を間違えて呼ぶというのがバカで可笑しい。自分をカッコ良く見せるために職を偽り、高級車を盗み、何とかボロを出すまいと必死。演じるトファー・グレイスの飄々とした佇まいが役柄にピッタリで、彼のおかげで見ていられるものになっていると言って良い。

 ヘタレはどうするべきなのだろう。結局開き直るしかない。当たって砕けろ。まず一歩を踏み出さなければならない。カッコ悪いけれど、カッコ悪いままに突き進めば、いつしかそれがホンモノになるかもしれない。このあたりに80年代の空気に後押しされる主人公の姿を前面に押し出しても良かったのに、控え目にまとめられている。もっともっとバカになってくれ。

 良い味を出していたのはグレイスの父ちゃんを演じるマイケル・ビーン。息子の将来を案じている警官の父ちゃんは、終幕近くで息子にある説教をカマす。ビーンが冷静な顔をして事態を嘆く。このときのグレイスと友人ダン・フォグラーの泣き顔が可笑しい。ちゃんと息子を愛していることも伝わってくる。それに較べるとグレイスの双子の姉を演じるアンナ・ファリスは、特に見せ場らしいものがなく残念。ブロンドをブルネットに変えただけでこれまでとは全くの別人になっているのは見ものだったけれど、もっと双子ネタで引っ掻き回しても面白かっただろう。





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