ラスト・ソング

ラスト・ソング “The Last Song”

監督:ジュリー・アン・ロビンソン

出演:マイリー・サイラス、リアム・ヘムズワース、ボビー・コールマン、
   ケリー・プレストン、グレッグ・キニア、ハロック・ビールズ、
   ニック・ラシャウェイ、カーリー・チェイキン、ケイト・ヴァーノン

評価:★




 ファーストシーンからずっと考え続けていたのは、マイリー・サイラスは一体全体どこが魅力的なのだろうか、というシンプルな疑問だ。サイラスがアメリカを代表するスーパーアイドルであることは重々承知している。これまで雑誌やテレビでしか見たことがなかったので(演技は一切観ていない)ピンと来なくても仕方がないと思っていたのだけれど、大スクリーンに映し出されるサイラスをじっくり観察してもやっぱりピンと来ないのだ。結局辿り着いた答えは、サイラスは映画向きの容姿をしていないということである。映画女優であるためには美人である必要はないけれど、スクリーンの大きさに負けない規格外の何かを持っていなければならない。しかし、サイラスはどこまでも普通だった。

 タヌキのように真ん丸い顔。若いのに濃いアイメイク。我の強そうな頬。ぷっくりとして、それでいてめくれ上がった唇。一見するとなかなかユニークな個性を持っているようにも思えるのだけれど、その姿勢の悪さが全てを台無しにしている。背中が常に丸くなっていて、首を突き出したところに顔が乗っかっているため、全体の印象が寝ぼけているのだ。素人が間違えてスクリーンに迷い込んできたような、落ち着かない気分を誘発する佇まいで、これで脇にいてくれるのならばまだ良いのだけれど、話のど真ん中でヒロインを演じられても、輪郭のはっきりしないままに素直に話に乗っかることはできないというものだ。TVサイズならまだなんとかなるのかもしれない(それともシンガーとしてならイケるのか?)。ちなみに相手役のリアム・ヘムズワースはサイラスにピッタリのチープさを持っていて、良いのか悪いのか、カップルぶりに違和感はない。とても楽しそうにいちゃこいているし。

 『ラスト・ソング』の原作は次から次へと映画化されているニコラス・スパークスだ。スパークスの物語は全部同じで、この映画でも変わらない。美しい風景の中、傷を抱えた男女が惹かれ合い、愛し合い、しかしすんなりとは幸せになれず、死が絡んだ悲劇に見舞われるというもの。ロマンティックなアイテムが使われるのも定番で、今回はステンドグラスやカメの産卵、楽曲制作にまつわるミステリアスなエピソードが要所要所に置かれている。21世紀という時代に入っても、臭過ぎるこの展開を何の恥じらいもなく、何度も何度も繰り出してくるあたり、もはや褒められていいのではないか。なんだか偉い作家のような気がしないでもないのが怖い。

 ひとつ新しい展開を見せているとするならば、父と娘の関係がクローズアップされていることなのだけど、サイラスを良く見せようとしていることに全力を注いでいる演出なので(しかもそれに失敗しているので)、作為が目についてどっぷり浸かることはできない。最初の頃ほとんど口を利かなかった娘と父なのに、たいしたきっかけもなくその距離を縮めていき、クライマックスでは互いの愛情を確認し合うことに何の躊躇いもない。恋人や友人の関係も大変大雑把に処理されているところを見ると、脚本の段階で全然練られていないのだろう。サイラスが前面に出ていればそれで良いという撮り方。スパークス作品を輝かせるためには、せめてストーリーを丁寧に語ることを心がける必要があることに気づいていない。スパークス映画ではなくサイラス映画なのだ。

 鑑賞後、もうひとつ疑問が沸いてきた。グレッグ・キニアはどこに惹かれて出演を決めたのだろう。サイラス映画の中でも微妙な味わいを見せるキニアが哀れに思えて仕方がない。





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