フェア・ゲーム

フェア・ゲーム “Fair Game”

監督:ダグ・リーマン

出演:ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン、サム・シェパード、
   デヴィッド・アンドリュース、ブルック・スミス、ノア・エメリッヒ、
   ブルース・マッギル、マイケル・ケリー、アダム・ルフェーヴル、
   タイ・バーレル、ティム・グリフィン、ジェシカ・ヘクト

評価:★★★




 ヴァレリー・プレイムの名前はよく覚えている。アメリカ政府によってCIA諜報員であることを暴かれた人物。映画の中で何度描かれても現実感をさほど感じられなかったCIAという組織が、確かに存在するという事実を突きつける事件の主人公として…。『フェア・ゲーム』は彼女の闘いの詳細を綴る。

 プレイムを演じるのはナオミ・ワッツだ。美しい容姿はスターのそれだけれど、適度な生活感がプレイム役にピッタリ。スーツをきっちり着こなし仕事をテキパキこなすときと、家に戻って力が抜けたときのギャップがイイ。できる仕事人、良き妻、良き母であろうとする姿が凛々しい。

 プレイムはイラクに大量破壊兵器が存在しないことを突き止める。前半はその細部が描き出される。各国を飛び回り、協力者に接触しながら(時に潜入捜査官として身分を偽りながら)、徐々に真実に近づいていく。危険と隣り合わせ。間違いなく過酷。志高くなければ無理。ダグ・リーマンはこれを「ボーン・アイデンティティー」(02年)のあのドキュメンタリー風のタッチで浮かび上がらせる。最善の方法だとは思うものの、随所に挟まれるジョージ・W・ブッシュの演説映像が本当に白々しいこともあり、退屈からは逃れられない。堅苦しい気配が濃厚。しかもそれは愚かな政府から放出されているのだ。

 ところが、遂にプレイムの名前が新聞に踊ってから俄然面白くなる。大量破壊兵器がないことを主張するプレイムへの報復として、政府筋がプレイムの名前を新聞にリークしたというのが真相だ。ここからはプレイムの自分自身との闘いに転じる。凄味が宿る。その日からプレイムは突如有名人となり、常に他人の好奇と批判の目に晒される。プレイムは沈黙を守る。それこそが事態の沈静化に最適の方法だと信じて…。

 ここで急激にせり上がってくるのが夫ジョー・ウィルソンの存在だ。そもそも政府の報復の引き金を引いたのは、ウィルソンが寄稿した新聞記事だった。彼はプレイムとは異なり、メディアを使って大々的な反撃に出る。そしてそれがプレイムとの間の溝を深くしていく。ショーン・ペンの演技は過剰だが、誠実なものだ。

 つまりプレイムの物語は家族の価値観に寄り添い始める。これを甘ったるいと見るべきではない。前半部を見れば分かるように、CIAの仕事はタフでなければ務まらない。正体を知っているのは夫と両親のみ。頼れるのはそこしかない。やはり時代は家族という形態を見直す時期に来ているのだろう。アメリカ的だと簡単にはまとめられない。

 もちろんプレイムを支えていたのは信念というものだろう。自分は間違っていない。その誇りにも似た強い気持ち。プレイムは背筋をビシッと伸ばし、折れそうな心に立ち向かう。泣き言は言わないままに、ホワイトハウスに目を向ける。ラストシーン、遂に法廷に立つプレイムが美しい。





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