アイアンマン2

アイアンマン2 “Iron Man 2”

監督・出演:ジョン・ファヴロー

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、グウィネス・パルトロウ、
  ドン・チードル、ミッキー・ローク、スカーレット・ヨハンソン、
  サム・ロックウェル、サミュエル・L・ジャクソン、
  クラーク・グレッグ、ケイト・マーラ

声の出演:ポール・ベタニー

評価:★★★




 考えてみると、アイアンマンはかなり異色のヒーローだ。ハリウッドはこれまでにもたくさんのコミックヒーローを生み出してきたけれど、大半は正体を堂々と明かして活動しないし、性格も呑気なんかではない(陰鬱か真面目か)。それに、悪役の方が断然目立つ傾向にある。アイアンマンは自ら正体をアピールし、おちゃらけた言動ばかり。悪役に花を持たせることなく、自分がいちばん目立つことを忘れない。異色の設定ながら、しかし、誰もが楽しめる王道的なカラッと陽気な空気を発散しているのが嬉しいところ。

 何と言っても、ロバート・ダウニー・ジュニアの力は絶大だ。アイアンマンの正体であるトニー・スタークをシャレた存在に仕立て上げたのは、間違いなくダウニーの功績。生命を脅かすような異変を身体に感じたとしても、突然現れた敵にやられそうになっても、スタークはその軽妙な立ち振る舞いを決して崩さない。深刻になることなく、スタークはスタークのまま、窮地を切り抜けていく。ユーモアを注ぎ込む塩梅が絶妙なのだ。だから皆、彼を嫌いにはなれない。人間的な弱さを曝け出したとしても、そこにシンパシーを寄せずにはいられなくなる。ダウニーがスタークを立体的に演じ上げることでモッていると言っても言い過ぎではないほどに。

 ただし、ストーリーは一作目よりも大幅にパワーダウンしている。…と言うより、ストーリーらしいストーリーが見当たらない。攻撃を仕掛けてきたロシア出身の悪漢を迎え撃つという単純過ぎる筋立てに肉付けされるのは、あまり芳醇とは言えないロマンスだったり、番外編を意識した小ネタだったり、とストーリーに起伏を与えるものではない。ジョン・ファヴロー監督はストーリーを犠牲にする代わりに、キャラクターを重視した展開を選んでいる。スタークを描き込むのはもちろんだけれど(これはアイアンマンの話というよりはトニー・スタークの話だ)、その他の重要キャラクターにもスターを積極的に配置して、いかにも漫画的な面白さに賭けている。したがって観ている間は全然飽きないのだけれど、観終わってからは残るものはない。キャラクターが魅力的でもそれがストーリーに濃厚に絡んでくることはないからだ。

 特にメインの悪役であるウィップラッシュが退屈なのは残念無念。父親の代からの因縁でアイアンマンに挑んでくるというベース部分に凄味がないばかりか、そのドラマも案外凡庸だ。「ダークナイト」(08年)のジョーカーや「スパイダーマン2」(04年)のドクター・オクタヴィウスのような吸引力は全くなく、ただ勘違いして暴走しているようにしか見えない。演じるミッキー・ロークも「レスラー」(08年)のような味わいはなく、むしろしょぼくれた外見だけが印象に残る。悪役が輝かないと、アイアンマンも存分に熱くなれないというものだ。

 アクション場面が暗いのもなんとかして欲しかった。スーツを装着して視覚効果に頼るところが目立ってもダウニーの存在が感じられるという不思議な感触があるのに、画面が暗いせいで盛り上がってきた気分がストンと落ちてしまう。特にウィップラッシュが無人ロボットでアイアンマンに挑んでくるクライマックスにはガッカリした。攻撃の仕方に芸がないし、やられ方もあっさり、その上画面が暗くて観辛くて…。肉体の魅力はどこ。

 結局のところ、一作目には及ばない出来映えだ。しかし、それでも『アイアンマン2』は、その世界観にはまだまだ多くの可能性が潜んでいることを示してもいる。既に紹介が済んでいる魅力的なキャラクターたちが積極的に物語で絡まり合ったとき、シリーズは新しい光に包まれることになるのではないか。





blogram投票ボタン

ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ