カウボーイ&エイリアン

カウボーイ&エイリアン “Cowboys & Aliens”

監督:ジョン・ファヴロー

出演:ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ウィリアムス、
   サム・ロックウェル、アダム・ビーチ、ポール・ダノ、
   ノア・リンガー、アビゲイル・スペンサー、バック・テイラー

評価:★




 『カウボーイ&エイリアン』は組み合わせの妙で勝負を賭ける映画だ。西部劇とSFという水と油に思えるジャンルを融合させて、誰も観たことがない摩訶不思議な世界観を作り出そうというのが奇想としてあったはずだ。ところが、その狙いに安定感は見られない。始めからぐらついていた足元が一向に固まらない。それどころか話が進めば進むほど、謎が明らかになればなるほど、宇宙人の姿が見えてくればくるほど、画面はどんどん活気から遠のいていく。

 西部劇とSF、このふたつのジャンルに無理矢理共通項を見つけ出すならば、作り手の「スタイル」が確立されている必要がある点を挙げる。西部開拓時代もSFの世界も、現代社会とは随分趣が異なる空間だ。誰も経験したことがないそれだ。つまりそれは想像力と創造力により命を与えられる。現代とは違う細部の隅々までが緻密に描写されることで立体性を帯びる。

 それなのにジョン・ファヴロー監督は、どちらも中途半端にしかキメられない。「アイアンマン」(08年)で伸び伸びしていたのは、現代を舞台にし、キャラクターの個性を中心に話を進めていたからだったのか。ここでは西部劇において「敵」となる存在を宇宙人に見立てることだけで満足し、その細部を念入りに探ろうという気配は感じられない。「敵」にさらわれた人々を、主人公を始めとする残された人々が救出に向かう。女も子どもも犬も追跡に同行する。そこにかつての荒くれ仲間が現れ、先住民が姿を見せ、別の宇宙人も正体を表す。敵が宇宙人だから奇抜に思えるものの、実はいたってフツーの作り。中途半端な融合。気の抜けた遊園地。

 画面の色合いがいちばん気に入らない。黄色がかっていたり、青味がかっていたり、暗闇だったり、光に包まれていたり…おそらく西部特有の気温の変化や時間の流れを意識したのだろう。しかし細部が創り込まれていない中では統一感のなさを強調するのみ。節操なくころころ調子が変わる。

 宇宙人相手に銃で戦うというのも最後までしっくり来なかった。草木がまばらに生えた大地の上を馬が走り、騎乗した人間が宇宙人に銃弾を浴びせる。いちばん分かりやすく西部劇とSFの融合を示した画が、破天荒ではなく、野卑滑稽な方向に突き進む。大量の銃弾が飛び交うほどに、「良い大人が何をやっているのか」と冷静な気分になっていく。

 怪我をして記憶をなくした状態で目覚めたは主人公は「ジェイソン・ボーン」を思わせるものの、ダニエル・クレイグの起用はやはり「ジェームズ・ボンド」を意識したものだろう。ハリソン・フォードは無論「インディ・ジョーンズ」だ。ボンドとジョーンズがタッグを組んで宇宙人に立ち向かう。夢の顔合わせのようで、一切心躍らない。クレイグは身体全体からスピード感が出ていて頼もしいものの、フォードは完全なる引き立て役で終わっている。役柄としてもカッコイイところが全然ない。ジイチャン無理するな。自分大好きなフォードが撮影現場で文句を言わなかったのだろうか。ジョーンズがボンドに気遣われているような寂しさがつきまとっている。





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