ドリュー・バリモア

 ドリュー・バリモアで毎度素晴らしいと思うのは二点。ひとつはぽっちゃり体型のままスターであり続けていること。もうひとつはかつてのバッドガールのイメージを完全に吹き飛ばしてしまったことだ。10代半ば頃のバリモアは「子役大成せず」のジンクスを地で行くだけでなく、極めてダーティなイメージが先行していた。もはやお色気路線で生き残るしかないと思われ、実際そういう作品が続いていたのだけれど(それはそれで良い)、そこから見事抜け出した。監督デビュー作『ローラーガールズ・ダイアリー』(09年)はそういうバリモアの現在の資質が良く表れた映画で、技術云々ではなく、作中に漂う溌剌とした空気で魅せ切ってしまった。それも嫌味なく。嫌味がないのが嫌味に感じられるくらいに。

 名門バリモア一族に生まれた彼女の最初のブレイクはもちろん、『E.T.』(82年)だった。世界的メガヒットにより一躍トップ子役となったバリモアはしかし、その後凄まじい転落を経験する。9歳でアルコール漬けになり、10歳でマリファナを経験、12歳でコカインに手を出し、14歳で自殺未遂を計る。冗談のような逸話だけれど、本当だからとんでもない。日本のヤンキーなんて黙って彼女にひれ伏すべきだろう。20歳前に結婚して、僅か1カ月で離婚したというのも、うーん、偉い。ある意味イメージ通りだ。

 バリモア復活の気配が感じられたのは、しかし、結構早かった。『ボーイズ・オン・ザ・サイド』(94年)『バッドマン・フォーエヴァー』(95年)といった話題作への出演後、『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(96年)のお嬢様演技と『スクリーム』(96年)の絶叫演技がプラスになり、ある一本の作品のヒロイン役に繋がったのだった。それこそが『ウェディング・シンガー』(98年)。

 たった一本が俳優の人生を変えるというのはハリウッドでよく聞かれることだけれど、バリモアで言ったら、『ウェディング・シンガー』こそがそれだろう。アダム・サンドラーを映画スターに押し上げた作品でもある本作でバリモアが演じたのはウェイトレスで、そこでのバリモアの笑顔にはかつてのダーティな色は全くなかった。デイジーの花のような存在感がとにかく愛らしくて、マシュマロのようなその笑顔さえあれば他には何もいらないという輝きに包まれていた。バリモアが賢明だったのはこの作品のイメージを大切にしたところで、続く『エバー・アフター』(98年)『25年目のキス』(99年)も同じ路線で成功。この3連発が今のバリモアの基礎になっていることは間違いない。

 それにしても天真爛漫な笑顔である。翳りなんかは全然ない。世の中には辛いことがたくさんあるけれど、この笑顔さえあれば、とりあえず生きていける。また一歩を歩き始めてみよう。そう思わせてくれる笑顔だ。頬を中心にしたぽちゃぽちゃした柔らかさがとてもイイ。過去に前述のような経験をしたとは到底思えない。バリモアは演技でこの笑顔を見せているのだろうか。いや、違うだろう。過去と完全に訣別したからこその笑顔。演技力云々ではどうにもならない笑顔。笑顔が笑顔を呼ぶホンモノの笑顔。笑顔が可愛い女優は少なくないけれど、ここまで濁りのない笑顔は本当に珍しい。

 繰り返すけれど、この笑顔はバリモアの強力な武器になっている。30代に入った今でもバリモアのベースにあるのはコレだ。『50回目のファースト・キス』(04年)も『2番目のキス』(05年)も『ラブソングができるまで』(07年)もバリモアが笑顔でいてくれれば、それだけで画面が弾んでいたものだ。『チャーリーズ・エンジェル』シリーズ(00年、03年)にしても、この笑顔があればこそ、多少ガサツな方向に走っても許されるところがあった。欲を言うなら、笑顔の見せ方にもう少し捻りを加えてきて欲しいところだけれど、それは今後の課題だろう。

 『ローラーガールズ・ダイアリー』の伸び伸びした演出は、作り手の信念に迷いがないことが伝わってくるものだった。まあ、それくらい真っ白(正確に言うなら、限りなく白に近い淡い色)じゃないと、あれだけの過去を過去とすることはできないのだろう。中年期のバリモアというのはあんまり想像できないのだけれど、しかしおばあちゃんになってからのバリモアはなんとなく想像できる。きっと笑顔の可愛らしいおばあちゃんになるはずだ。



教訓:過去を過去にするには早いうちに潔くきっぱりと。



MY ドリュー・バリモア ムービー BEST 3
 1. 『50回目のファースト・キス』(04年)デイジーの花のような存在感の集大成
 2. 『ウェディング・シンガー』(98年)天真爛漫路線を決定づける笑顔の魅力
 3. 『2番目のキス』(05年)ジミー・ファロンとのナイスなケミストリー





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