ブリッツ

ブリッツ “Blitz”

監督:エリオット・レスター

出演:ジェイソン・ステイサム、パディ・コンシダイン、エイダン・ギレン、
   ゾウイ・アシュトン、デヴィッド・モリッセイ、マーク・ライランス、
   クリスティーナ・コール、ルーク・エヴァンス、ロン・ドナキー

評価:★★★




 今度のジェイソン・ステイサムはいつにも増して荒っぽい。夜中、車上荒らしを見つけるや、ホッケーのスティックで容赦なくチンピラどもを叩きのめす。温情や法律なんてクソ食らえ。ゴシップ誌のネタに上げられるほどの刑事である彼は、自分の信念こそが絶対的なものなのだ。街灯のささやかな灯りに照らされて去り行くステイサムがカッコイイ。後頭部から攻められたハゲがはっきり分かっても…。

 ステイサムは多分、同性からの支持の多いアクションスターだ。ステイサムの佇まいは、善人役にせよ悪人役にせよ、彼ならではの美学に貫かれている。言動に筋が通っている。そしてそれが揺らぐことがない。揺らいだら最後、ステイサムはステイサムでなくなる。『ブリッツ』の場合は、ステイサムならではの正義が軸にある。例え暴力に彩られたそれであったとしても、正義は正義。男たちはこういうのに弱い。どれだけ踏ん張ってもB級映画に落ち着き(褒めている)、ハゲはハゲでも潔くハゲ(もちろん褒めている)という点同様、ステイサムを語る上で避けては通れない一要素だ。

 『ブリッツ』はステイサムの美学に揺さぶりをかけるのがいちばんの観所になっている。テーマは「暴力」。一見警官連続殺人事件の犯人との単純な追いかけっこだけれど、その外観の奥には暴力がビッシリとこびりついている。正義から生まれた暴力、犯罪のための暴力、復讐に駆られた暴力、抵抗するがゆえの暴力、人を救うための暴力、欲望に突き動かされた暴力…。暴力の連鎖が更なる暴力を呼び寄せる。その意図は明確だ。

 当然描写は過激になる。いずれも不快さを感じる種類のそれだ。正視が辛い場面が多い。何を描きたいのかは理解できても、若干喜々として演出しているように見受けられる箇所がチラホラ。暴力を扱う上で、難しいところだ。

 つくづく思うのはステイサムはとても動かしやすいスターということだ。飛び込みの元選手ゆえか身体能力は高いし、(ハゲでも)ルックスもまずまず。しかし、何と言っても効いているのは、美学に貫かれた「キャラクター」が立っている点だろう。役にハマると簡単に話が転がり出す。こんなに物語を組み立てやすいスターも珍しいのではないか。

 これはしかし、気をつけなればならない点だとも思う。キャラクターに寄りかかり過ぎて、演出や脚本が単調な方向に流される危険を秘めている。『ブリッツ』もこじんまりまとめてしまった感はあるし、他の登場人物はあまり上手く動かせていない(アンサンブルの匂いもあるのに…)。

 でもまあ、ステイサムを魅力的に見せることができた時点で、退屈とは無縁なものとなる。ステイサムファンはステイサムを眺められればそれで幸せ。ロンドンの渋味のある空気感も手伝って、そのニーズには十分応えている。





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