アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!

アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事! “The Other Guys”

監督:アダム・マッケイ

出演:ウィル・フェレル、マーク・ウォルバーグ、エヴァ・メンデス、
   マイケル・キートン、スティーヴ・クーガン、レイ・スティーヴンソン、
   アン・ヘッシュ、サミュエル・L・ジャクソン、ドウェイン・ジョンソン、
   ボビー・カナヴェイル、ブルック・シールズ、ロージー・ペレス

評価:★★★★




 シルヴェスター・スタローンはデスクワークなどしない。アーノルド・シュワルツェネッガーは怪我をしても痛がらない。ブルース・ウィリスは絶対に死なない。アクション映画のヒーロー刑事は不死身の存在。どんなに敵が手強くても、どれだけ障壁が高くても、それを軽々と克服し、鮮やかに事件を解決に導く。その際に施されるのはケレン味たっぷりの演出。派手なロックミュージックが流れ、血や傷はアクセントになり、スローモーションとなり、大爆発が起こり、敵は大袈裟に死んでいき、最後はキメゼリフで締められる。美女とのキスも待っている。

 『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』は、そういうスター刑事を目指す脇役刑事ふたりの物語。目の付け所がまず、可笑しい。スター刑事の影に脇役刑事あり。その実態を描き出す。パロディ要素満載ながらそれだけに終わらないのは、観察の細部が細かくしつこく念入りに研究されているからだ。ほとんど刑事オタク的な克明さで脇役たちの生態を炙り出すことで、正義とは何か、ヒーローとは何かという問題を内包した笑いが広がっていく。

 笑いの発信源となるのはウィル・フェレルとマーク・ウォルバーグだ。ふたりが演じる刑事の描き込みが、とにかく素晴らしい。フェレルは現場よりも署内でパソコンに向かっている方が好きなインドア刑事。その内向的で生真面目な部分が周囲のイライラを誘う。ウォルバーグは血気盛んなアクティヴ刑事。しかしそのやる気が常に空回り、現場に出たがらないフェレルに対して怒りっ放しだ。

 それぞれを眺めているだけでも愉快だけれど、フェレルとのマイペースとウォルバーグの苛立ちが擦り合わされたときに生じるエネルギーはそれに輪をかける。フェレルの口が達者なところ、ウォルバーグは怒鳴っても言い負かされるところ。フェレルが美女にモテるところ、ウォルバーグがそれを羨ましそうに眺めるところ。事件の担当を外された際、フェレルがかえってやる気を見せるところ、ウォルバーグが交通係に目覚めてしまうところ。様々な擦り合わせが新たな可笑しさを生んでいく。

 フェレルとウォルバーグの掛け合いには、所謂突っ込みがない。フェレルが真面目になればなるほど、ウォルバーグが鼻をおっ広げればおっ広げるほど、核心からズレていく。周りの仲間たちはそれを軌道修正しない。署長のマイケル・キートンもTLCネタを繰り出して、まとめるふりをしてほとんど自分いちばん。つまりどこに向かっていくのかが予測できない。これは全く重要なポイントだ。呑気に詐欺事件で遊んでいるようで、観ている方を出口の見えない迷路に誘い込む。脱線の仕方が意表を突く。フェレルとウォルバーグもそれを本気で楽しんでいる。

 要するに笑いの見せ方が凝っている。ただし、男たちを笑い者にはしていない。彼らのズレ方は可笑しい。同時にそこに向かってエールを贈っている。だからバカには見えないし、尊くすら見える瞬間がある。けれど、作品の外観はしっかりバカ映画となっていて、それがまたイイ。

 脇役が脇役らしく輝く。実はこれは案外難しいことなのではないか。芸なく描いたら本当に観るところがなくなってしまうし、派手な描写に走ったらその瞬間から彼らは主役になってしまう。そのバランス感覚に優れているからこその映画。計算の行き届いた(ただし、笑いの多くはアドリブが多いと思われる)組み立てが勝因。楽しく気持ち良く爽快に、脱線特急に乗せられる。





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