親愛なるきみへ

親愛なるきみへ “Dear John”

監督:ラッセ・ハルストレム

出演:チャニング・テイタム、アマンダ・セイフライド、
   リチャード・ジェンキンス、ヘンリー・トーマス、D・J・コトローナ、
   カレン・モス、ギャヴィン・マッカレー、スコット・ポーター

評価:★★★




 出会いの場面からして、いかにもニコラス・スパークス映画だ。アマンダ・セイフライドが桟橋の上からポーチを落としてしまい、海に飛び込んだチャニング・テイタムがそれを拾い上げるのだ。この場面で注目すべきはテイタムの撮り方だ。サーフィンを楽しんだ帰りだったテイタムは上半身裸。しかも全身水で濡れていて、余計にイイオトコ風。それだけでもセイフライドはドキドキしてしまうのだけれど、このときのテイタムは短パンを腰で履いている。誰もが「アンタ、もう少しで見えちゃいますから!」と突っ込まずにはいられない。当然カメラはテイタムの腹斜筋を切り取ることを忘れない。セイフライドだけじゃなく、観客の女たちもうっとり…かもしれない。

 スパークスの本は一冊も読んだことがないのだけど、映画化される作品がことごとく同じ展開であることから察するに、おそらく映画とほとんど変わりがないのだろう。男と女が出会い、惹かれ合い、愛を確かめ合い、しかし思いがけない悲劇に見舞われて愛の強さを試される。『親愛なるきみへ』もまさしくこのパターン。スパークスは何の疑いもなく、このパターンの美しさを信じているのに違いない。陳腐だと斬り捨てることは簡単だけれど、あまりにもまっさらに愛の純粋さを信じているので、もはや尊い気がしてくる。正々堂々型にハマったメロドラマの繰り返し。映画化する際は批判覚悟で、細部を丁寧に織り上げるに限る。実験性を取り入れたり、捻りを効かせると、途端に粗が目立つ。「きみに読む物語」(04年)「最後の初恋」(08年)は丁寧さで乗り切っていた。

 米軍兵士であるテイタムが任務のために旅立つまでの前半が面白い。先に記した出会いの場面を筆頭に、思わず赤面してしまう場面がてんこ盛り。ポーチをきっかけにまるで発情期の犬のように急速に距離を縮めていくふたり。硬派な男かと思ったテイタムはセイフライドを見つめる目が最初から熱いし、セイフライドはセイフライドでアクションが早く、家にまで押しかけ父親特製のラザニアまでご馳走になっちゃう。作りかけの家で雨に打たれながら求め合い、クローゼットの中で触り合い、でも真面目な場面では真摯にぶつかり合う。恋愛を盛り上げるアイテムも散りばめられている。長年に渡って集められたコイン、弾き語りのギター、繰り返される"I'll see you soon, then"の言葉、美しい南部の風景…。とりわけ手紙によるやりとりが恋を盛り上げる。日本の少女漫画もビックリのコッテコテ。

 改めて気づくのはスパークス映画では古風な味わいが大切にされているということだ。舞台になるのは美しい景色が詰まった田舎だし、男女の掛け合いはアナログな要素に包まれている。親子関係が重要な意味を持っているし、困難を乗り越えてこその愛がホンモノだとでも言いたげだ。そうした古風な空気が気分を盛り上げるのは事実だろう。都会暮らしの人間だと余計にホッとするかもしれない。

 後半になると、テイタムが戦地に向かってしまいふたり離れ離れになる。手紙だけのやりとりを強いられるふたりへの試練。当たり前だけれど、テイタムとセイフライドが一緒の画面に入る場面が極端に少なくなるのが苦しい。ふたりの相性はなかなかのもので、その化学反応が、あまりにもベタな展開を「見せられる」ものにする強力な後押しになっていたことに気づかされる。ここから別れ話が浮上、時が流れて再会するまでの画面の盛り下がり方に驚く。恋愛映画における主役男女のケミストリーは極めて重要なものなのだ。

 しかも、「二週間の思い出」を生涯の愛だと信じたふたりがあっさり別れてしまう、その奥にある真相がスパークス映画にしては弱い。ふたりの運命を狂わせるセイフライドの優しさ(これを優しさと言えるかどうかは別にして)、この描き方が煮え切らないものでしかなく、したがって女があんぽんたんに見えてくる。そんな理由で別れ、自暴自棄になったかのように兵士であり続けたテイタムが哀れで仕方ない。もっと大きなハッタリで王道を突っ走っても良かったのではないか。泣かせ所が大味に感じられる。

 手掛けたのはなんとラッセ・ハルストレムだ。スウェーデン時代が信じられないほどアメリカの色に染まってしまったハルストレム。丁寧に語ろうという意思が感じられるところが救いだ。





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