プリースト

プリースト “Priest”

監督:スコット・スチュワート

出演:ポール・ベタニー、カール・アーバン、キャム・ギガンデット、
   マギー・Q、リリー・コリンズ、スティーヴン・モイヤー、
   ブラッド・ダーリフ、クリストファー・プラマー

評価:★★




 こうも沢山のヴァンパイア映画が出てくると、差別化を図るのは本当に難しい。世界観がどこかで見たようなものになってしまうのが辛いし、肝心のヴァンパイアのデザインも似たり寄ったり…。ちょっと冒険すると、やはり量産されているゾンビ映画との区別がつかないなんてこともある。いや、『プリースト』は、そうした罠にハマりながらも頑張っている方だと思うのだ。なんとか独自の世界観を作り出そうと試みていることは伝わる。ただ、頑張りが充実したところに届かない。敢えて讃えるなら、もう一息で賞ってところか。

 ポール・ベタニー演じる男はプリーストと呼ばれている。教会がかつて編成したヴァンパイアハンターを生業とする戦士で、しかしヴァンパイアの勢力が抑えられている今は世間から疎まれている存在。そのプリーストの一人であるベタニーがヴァンパイアにさらわれた姪を救いに向かう。ヴァンパイアの復活を信じない教会に背いてまで。ヴァンパイアを追いかけ、教会に追いかけられる構図。これがさほど効いていないのが苦しいところ。追う追われるのサスペンスが薄く、物語を引っ張る力が感じられない。スコット・スチュワート監督は同じベタニーを起用した「レギオン」(10年)でも分かるように、話を語ることよりもヴィジュアル作りに執着する傾向にあるようだ。

 スチュワートのヴィジュアルは、水と油ほどにイメージの違うふたつを対比させることでインパクトを引き出している。人間が住む近未来色強いダークな都市とヴァンパイアが生きる荒涼たる大地という舞台設定を筆頭に、修道士と砂埃、ヴァンパイアとメカアクション、ワイヤースタントとCGを駆使した視覚効果、止まらない列車とヴァンパイアの棲家…。そしてこれらの対比は、確かに一定の効果を上げている。

 ただ、そうしたヴィジュアルへの興味をもう少しだけプリーストの創り込みに回して欲しかった。修道士スタイルを進化させた衣装は「マトリックス」(99年)のニセモノのようだし、バイクは「ダークナイト」(08年)の中古品っぽい。額の十字架マークはなんだかバツゲームでも受けているみたい。印が「肉」でなくて良かったとホッとする。ベタニー以外のプリーストの置かれている立場が曖昧に処理されているのもすっきりしないところ。

 プリーストの見せるアクションもこれといった特徴のないものだ。銃を使わないぐらいで、しかしそれに代わる武器は手裏剣風のそれが出てくるくらい。空中に舞い上がった石に飛び乗るアクションのようなユーモラスな動きをもっとふんだんに取り入れても良かったのに。

 ヴァンパイアは列車の貨物に巣をこしらえて移動する。このアイデアは可笑しい。そして、ある都市に向かって爆走する列車を停めようとするクライマックスもマズマズだ。列車の重量感とスピード感を具えた横移動と、人間やヴァンパイアの柔軟な縦移動、斜め移動が、視覚を柔らかに刺激する。アクションと相性がよろしくない3D処理がなされていなければ、大いに興奮できただろう。

 それにしても…「レギオン」『プリースト』の連発により、ベタニーにB級アクションスターの匂いがついてしまったのが気になる。彼の力量をもっと引き出せる演出家はいないものか。





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