マイ・ブラザー

マイ・ブラザー “Brothers”

監督:ジム・シェリダン

出演:トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、
   サム・シェパード、クリフトン・コリンズ・ジュニア、メア・ウィニンガム、
   テイラー・ギア、ベイリー・マディソン、キャリー・マリガン

評価:★★




 デンマーク映画「ある愛の風景」(04年)のリメイク。戦場として出てくるのはアフガニスタンだし、物語も図式化できるほどに分かりやすくてドラマティック。役者は実力のあるスター俳優を揃えよう。これならばアメリカ人にもとっつきやすいだろう。何だか安易な企画の匂いが気持ち悪いものの、メッセージ色が強く、かつメロドラマ的な展開は、確かに語り甲斐のあるものかもしれない。新味はないんだけど。陳腐スレスレなんだけど。ジム・シェリダンが手掛ける題材でもないけれど。でも結局、若手スター共演に心躍っちゃうんだけど。

 『マイ・ブラザー』の前半を引っ張るのは、ジェイク・ギレンホール扮する出所したばかりの弟だ。家族の厄介者的存在。しかし彼は登場人物の誰よりも密接に家人と関わってもいる。父と息子の間に流れる確執。兄弟ならではの複雑な感情。兄嫁との微妙な距離。様々な関係を通して心をざわめかせる青年の揺れ動きを、ギレンホールが温か味と誠実さを持って表現していて、大いに見ものだ。ただし、刑務所に入っていた理由が強盗というのはどうしても信じ難い。

 後半、アフガニスタンで死んだと思われていた兄が突如帰還する。弟はさらに難しい想いを見せ始める…はずなのだけれど、決してそうはならないのがとても惜しい。突如兄を演じるトビー・マグワイアの映画になってしまうのだ。前半からアフガニスタンで何が起こったのかを小出しにしているのがおかしいと思っていたら、なぜだか精神的な戦争後遺症の重みについてフォーカスが当てられ、過剰に重苦しく深刻にマグワイア劇場と化すのだ。もはや父はいるだけの存在になり、兄嫁はおろおろするばかり、前半前面に出ていた弟もおとなしく引っ込んでその行く末をじっと見守るのみだ。戦争で心に傷を負った家族を描く物語から、戦争で心に傷を負った者の苦しみそのものを描く物語へ。このすり替わりは絶対におかしい。

 トビー・マグワイアの力の入り過ぎた演技も問題で、これではほとんどホラー仕様のそれだろう。目を大きく見開いたまま狂気を表現する一本調子で、ただただ恐怖を刺激する。普段が控え目な演技をする人なので(アフガニスタンに行く前の演技を見よ)、余計に違和感が強調される。他の役者とのバランスも取れていない。

 演技と言えば、マグワイアとナタリー・ポートマンの長女を演じるベイリー・マディソンが気味が悪いくらいに達者な表情を見せるのに唖然とした。所謂子役臭がなく、作り物の感じが全くしない複雑なニュアンスを伝えてくる。子役の演技についてアレコレ言うのは嫌いなのだけど、どうしても触れておきたい気分にさせる巧みさ。マグワイアとは別の意味で怖い。そう言えば、オバアチャンに見えるときもあった。

 着地点はこれでいいのだろうか。物語上の当たり障りのないところに逃げてしまった感が強い。登場人物のデリケートな内面が放り出されてしまったようで、どうも腑に落ちない。





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