世界侵略:ロサンゼルス決戦

世界侵略:ロサンゼルス決戦 “Battle: Los Angeles”

監督:ジョナサン・リーベスマン

出演:アーロン・エッカート、ミシェル・ロドリゲス、ラモン・ロドリゲス、
   ブリジット・モイナハン、Ne-Yo、マイケル・ペーニャ、
   ルーカス・ティル、アデトクンボー・マコーマック、テイラー・ハンドリー、
   コリー・ハードリクト、ジェイデン・グールド、ブライス・キャス

評価:★★




 地球が宇宙人に攻撃されるときは、VFX満載のSFアクションとして仕立て上げられるのが常だ。これからは3D化も義務化されるのかもしれない。それなのにここでは、それによって生み出される見た目の派手さはほとんど追求されていない。参考にされたに違いないのはリドリー・スコット監督の「ブラックホーク・ダウン」(01年)でありキャサリン・ビグロー監督の「ハート・ロッカー」(09年)だろう。流れてくるニュース映像では「戦時下」という表現が度々出てくる。『世界侵略:ロサンゼルス決戦』はそう、「人間 vs. 宇宙人」という構図を借りた戦争映画だ。

 アーロン・エッカート扮する二等軍曹が所属する海兵隊チームのミッションが描かれる。サンタモニカの警察署に身を隠している民間人を救い出すというのがミッションの内容だ。宇宙人侵略物とは思えない地味な任務だけれど、これこそ作り手が狙いを現実的な戦争映画に定めている証拠だろう。もちろん宇宙人と戦う場面は出てくるものの、それは課せられた任務を果たすための交戦に他ならない。実際の戦場も敵と敵がぶつかり合うばかりではないのだろう。そうした戦時下の現実が大切にされ、それゆえ生々しさが立ち上がっている。

 一刻の猶予も許されない。次から次へと窮地が訪れる。貫かれた緊張感はなかなかのものだ。海兵隊チームから見た戦場という視線が守られているため、侵略の全体像が見えてこないというもどかしさこそあれ、自分が戦場の真っ只中に放り込まれたような臨場感はたっぷりだ。ジョナサン・リーベスマン監督、やるじゃないか。

 リーベスマンはしかし、忍耐力がなかったらしい。中盤に差し掛かると、それまで戦時下の恐怖を浮かび上がらせることに集中していたというのに、突如各登場人物に目配せを送るかのようなドラマ性が浮上してくる。これが煩い。自己犠牲だったり、名誉の死だったり、愛する人を失う喪失感だったり。当然のようにエッカート二等軍曹の物語も急激にせり上がる。軍曹は以前の任務で部下の多くを失っていた。そこから生まれたトラウマ、そして確執が露になる。これは通常のハリウッドSFならまだしも、現実感が重要視されるドキュメンタリー風の作りの中では、映画のスピードの殺す演出でしかしない。分かりやすいドラマ性に逃げてしまった罪。ここはグッと我慢して、戦場の現実に焦点を絞るべきだったのではないか。 

 しかもリーベスマンは、その仕上げとして結局、米軍の小グループに過ぎない海兵隊チームに戦局を変える大仕事を与えてしまう。それまでの現実感は吹き飛ばされ、最後に掲げられるのは「米軍万歳」「アメリカ万歳」のメッセージというのだから呆れるしかない。一気に戦場から映画館へと意識が引き戻される。安く装飾されたヒロイズム。相変わらず強烈な三白眼のミシェル・ロドリゲスに、反省の蹴りを入れてもらうが良い。

 それからこれは全くこの好みの話になるのかもしれないけれど、宇宙人のデザインがつまらない。ロボット型にしてしまったのが間違いの元で、生命の気配に乏しい分、戦争の痛み(相手の死によって感じる痛み)が随分薄らいでしまった。ちょっとゲーム的に感じられるところもある。命が軽く見えるのは当初の狙いからハズれてしまったということだろう。





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