ブライト・スター いちばん美しい恋の詩

ブライト・スター いちばん美しい恋の詩 “Bright Star”

監督:ジェーン・カンピオン

出演:アビー・コーニッシュ、ベン・ウィショー、ポール・シュナイダー、
   ケリー・フォックス、イーディ・マーティン、トーマス・サングスター、
   クローディ・ブレイクリー、ジェラルド・モナコ

評価:★★




 19世紀の英国詩人ジョン・キーツと彼が愛したファニー・ブローンの物語。不勉強なことに、キーツについては名前ぐらいしか知らないので、25歳にしてこの世を去った詩人が、その恋にどんな影響を受けてどのように作風が変化したのかは分からない。彼の作品が紹介されはするものの、深く突っ込んだそれにはなっていないのだ。何しろキーツはあのウィリアム・シェイクスピアと比較されるほどの人物で、どうやら英国ではその作品も知っていて当たり前のようだ。ジェーン・カンピオン監督もそれを前提として物語を語っている。

 キーツのバックグラウンド、そしてその作品を知らぬ者にとっては、話自体はメロドラマである。キーツにとってもブローンにとってもこの恋は初恋のようなもので、キーツはそれでよく詩が書けたものだとも思うのだけれど、その辺の突っ込みはもちろんなく、男と女が出会い、気になり、惹かれ合い、そして愛を語り合い…という普通の恋が普通に展開していく。セックスが描かれないのが特異なくらいだろう。キーツとブローンの名前がなければハーレクイン調の単調な恋。取り立てて芸術的に秀でたところのないブローンの視点で語られるせいもあるかもしれないけれど、なんとも肩透かしだ。

 ところが、である。『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』に安っぽいところはない。これはもうカンピオンが官能性への嗅覚に優れているからに他ならない。カンピオンは一貫して官能性にこだわってきた人で、「ホーリー・スモーク」(99年)や「イン・ザ・カット」(03年)では官能が滑稽な方向に向いてしまっていたのを、ここではきっちりとまとめ上げている。「ピアノ・レッスン」(93年)や「ある貴婦人の肖像」(96年)の独創的な官能を思い出す。画面のイチイチが色っぽくて惚れ惚れとさせられるのだ。

 季節感溢れる英国風景。そこに漂う匂い。鮮やかな衣装。自然の音とストリングスの響き。暖炉、ロウソクや鏡といった小道具。手縫いの刺繍が生む艶。デリケートな照明。…息遣いの細かいところまでを繊細に捉えた映像になっている。それこそインテリアの呼吸の音までが聴こえてきそうだ。映像に被さるキーツの詩の魅力はもちろんのこと(タイトルの入った詩が見事)、グレイグ・フレイザーの撮影の力によるところも大きいはずだ。特に冬枯れの景色を背景にブローンが歩く場面の詩情が素晴らしい。裸は出てこないのに、確かにここには官能がある。

 ただ、ブローンをアビー・コーニッシュが演じたのは納得がいかない。角度によってはスカーレット・ヨハンソンのニセモノに見えるという事実はともかく、顔の肉が厚過ぎるのが気になって気になって…。揺れる女心、恋心を浮かび上がらせるには、その表情の変化が分かりやすく大味だ。現代的な顔立ちなのも下半身が重たいのもしっくり来ない要因だと思われる。せっかくキーツ役のベン・ウィショーが軽妙さを楽しく描き出しているのに勿体無い。





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