リメンバー・ミー

リメンバー・ミー “Remember Me”

監督:アレン・コールター

出演:ロバート・パティンソン、エミリー・デ・レイヴィン、
   ピアース・ブロスナン、レナ・オリン、クリス・クーパー、
   ルビー・ジェリンズ、テイト・エリントン、
   ケイト・バートン、マーサ・プリンプトン

評価:★★




 「トワイライト」シリーズ(08年~)のヴァンパイア、エドワード役は、ロバート・パティンソンを一夜にしてトップアイドルに押し上げた。よくよく観察すると、青白いメイクで意味深な表情を浮かべていただけなのに、世界中の女の子たちがそれにコロリとマイッてしまった。パティンソンは不本意だろうけれど、『リメンバー・ミー』の製作コンセプトが「エドワードが人間だったら…」という点にあったことは間違いない(ただし、企画自体はパティンソンのブレイク前からあったという)。エドワードのイメージを壊さない程度に人間らしさをアピールする。

 ではエドワードが人間になるとどうなるのかというと、「気だるく嘆く若者」ということになる。なんともまあ分かりやすい。虚無的と形容されるように、常に心あらず。兄を亡くしたことを未だに引きずり、定職に就かずにブラブラ、しかし幼い妹のことは気にかけている。そして父親に対して抑え切れない怒りを抱いている。要するに自分の主張だけはイッチョ前に、でもそのアイデンティティの底には「大人になれない甘え」が横たわっている。ほとんど興味の持てない甘っちょろい青年役だけれど、でもパティンソンファンにはそれで良いのだろう。「トワイライト」シリーズの相手役であるクリステン・スチュワートがそうであるように、彼にロマンティック・コメディは死んでも似合わぬ。

 軸となるラヴストーリーに工夫は見られない。パティンソンと同じように辛い過去を持つ女が現れ、出会い、恋に落ち、一旦は仲違いし、それを乗り越えて愛を確かめ合う、極めてフツーのそれだ。フツーと違うところがあるとすれば、至るところに散りばめられた泣きの要素が煩い点だろうか。主役カップルに限らず、痛みを抱えた人物を並べ、その傷を一瞥していく。あまりにも簡単で、作り手がそれにマトモに向き合っていないことが分かる。アレン・コールター監督は「ハリウッドランド」(06年)でもそうだったのだけど、物語の枝葉を伸ばすことはできても、それを切り揃える能力に乏しいようだ。

 無責任な若者のラヴストーリーに特に言うところはないのだけれど、この映画で初めてパティンソンの良さが少しは理解できた気がする。翳りに独特の匂いがあるのだ。どこでもタバコを吹かし、無精ヒゲは手入れせず、衣服はどれもこれもくたくた。体臭もキツそうだ。でもそれが時に強烈なマイナスの光を帯びる。内に眠る変態性の輝きとでも言おうか。何をしでかすのか読めない危険な香りが、カクカクした容姿と絡まって、変態的な変異を遂げる。役柄次第で大バケするかもしれない。ファンは妹思いの兄ちゃんの顔を見せてくれるのも堪らないだろう。このあたりは「きみがくれた未来」(10年)のときのザック・エフロンと同じ。

 個人的にはピアース・ブロスナンとクリス・クーパーの父ちゃん対決が嬉しかった。性格も境遇も全く違うものの、どちらも子どもと上手く接することができないのは同じ。不器用な愛という定番の悩みをじっくり見せる。特にクーパーは哀しみが内に蠢いている感じが良く出ている。

 …というわけで、良くできてはいない割りにディテールを楽しんでいたのだけれど、全てオチで台無しになった。ニコラス・スパークス映画もビックリの唐突な悲劇。いや、実は唐突なんかではなくて、最初に何年の話かテロップが出るときから嫌な予感はしていたのだ。オチが映画の全てというわけではない。ないけれどしかし、それが全てを吹き飛ばしてしまうこともある。ここで描かれるオチは物語のために簡単に取り上げて良いようなものではない。作品のテーマが喪失と再生にあることを意識しているのだとしたら、余計に無神経だ。映画のバランスが一気に崩れ去る。気にならない人は感心すらするのかもしれないけれど、そういう自分でなくて良かったとホッとする。





blogram投票ボタン

ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ