セックス・アンド・ザ・シティ2

セックス・アンド・ザ・シティ2 “Sex and the City 2”

監督:マイケル・パトリック・キング

出演:サラ・ジェシカ・パーカー、キム・キャトラル、シンシア・ニクソン、
   クリスティン・デイヴィス、クリス・ノース、ジョン・コーベット、
   ジェイソン・ルイス、デヴィッド・エイゲンバーグ、エヴァン・ハンドラー、
   ウィリー・ガーソン、マリオ・カントーネ、ライザ・ミネリ、
   マイリー・サイラス、ペネロペ・クルス、オミッド・ジャリリ

評価:★




 一体全体どうしたことだろう。映画版第一作も決して褒められた作りではなかったけれど、その続編『セックス・アンド・ザ・シティ2』は輪をかけて雑な仕上がり。軽妙な足取りで6年間を駆け抜けたTVシリーズの栄光が信じられない。

 タイトルバックから首を傾げたのだ。テーマ曲が大胆にアレンジされて、ちょっと聴いただけではお馴染みのそれだと分からないほどに機械的。80年代の出会いのエピソードを含めて4人が紹介される場面は、駆け足が過ぎて全然落ち着かない。せっかく4人が白・黒・山吹色・ピンクとそれぞれのスタイルをカッコ良くキメているのに、なぜだかこのシリーズの匂いがしないのだ。ほとんどウケに走っているところもあって、再会が嬉しいというよりは、見せ方の野暮ったさが印象に残る。かくして序盤の見せ場はゲイ色に染まった結婚式でのライザ・ミネリのパフォーマンスである。久々の映画出演となったミネリが、動かない表情と固太りした身体つきで「Single Ladies (Put a Ring on It)」を歌い踊るのだ。何と言うか、滅茶苦茶怖い。悪ノリしたオバサンの盆踊りみたい。

 失敗の最大の要因は脚本が酷いことだろう。TVシリーズのときから関わり、監督もしているマイケル・パトリック・キングは、もはやネタが尽きてしまったのか、4人の女の物語ではなく、結婚してもなお煮え切らない関係を続けているキャリーに過剰に焦点を当てる。ビッグの普通のオッチャン化に端を発した、倦怠期と思しき時期の気分の浮き沈みを大々的に取り上げ、殊更騒ぎ立てる価値のないことをダラダラと語り続けるのだ。それも何の捻りもなしに。サマンサ、シャーロット、ミランダは、もはやキャリーの単なる親友としての存在意義しかなく、ほとんど装飾と化している。演じている女優たちは怒らなかったのだろうか。

 後半になると迷走はますます激しくなる。一作目でメキシコ旅行しただけでは満足できず、4人は突然アブダビに旅立つのだ。一応サマンサの元パートナーのスミスの人脈が関係しているとの筋立てだけれど、どう見ても4人を贅沢三昧させたいがための強引な展開である。そうなのだ。4人はアブダビで大歓迎を受けるのだけれど、その際の世話のされ方が、何かの冗談ではないかと思われるほどにバカバカしい。機内での優雅な接待は当たり前。迎えの車はリムジンで、しかも一人一台。ホテルは隅々まで金のかけられた成金趣味激しい設計で統一。その上、若い世話係がやはり一人ずつつけられるのだ。4人はこの状況下を何の躊躇いも疑問もなく受け入れて、キャアキャア大ハシャギだ。このシリーズはファンタジーである。しかし、ファンタジーというものは軸の部分が頑丈であってこそ成り立つものであり、ただ金をかけて贅沢を味わうことで浮かび上がるものではない。そこのところを忘れた結果、ほとんど中年女4人組のイタイ暴走以外の何物でもなくなっている。こういうのを受け入れられる男はいないだろうし、女だって大抵の者は嫌悪感を抱くだけだろう。そうあって欲しい。

 映画を象徴するエピソードがある。アブダビを後にすることになった4人が空港に向かう直前、キャリーがパスポートを紛失したことに気づく。そしてなくしたと思われる店に向かうのだけれど、この一連の流れがストーリー上ほとんど意味をなしていないのだ。キャリーはパスポートを無事に見つけて、シャーロットが無知を晒し、サマンサが吠え、ミランダは何もしない。それをギャグ色を強めて描き出しただけ。敢えて言うならアブダビの女たちの姿を映したところに意義があるのだけれど、それもとってつけたよう。こういう怠慢描写が実に多い。

 それで結局、何が言いたかったのだろう。4人は元気にやってますと宣言したかっただけか。ミランダとシャーロットが母親ならではの苦悩を曝け出したり、衝突気味だったキャリーとシャーロットが互いを認め合ったり…そういうこのシリーズならではの話はほとんどない。変化や前進を求めた結果、出口のない迷宮に迷い込んでしまったようだ。

 そうそう、衣装は依然見応えたっぷり。一作目よりもカジュアルなものが多くなり、アブダビでは異国情緒たっぷりのスタイルで遊んでいる。4人が横に並んで砂漠を闊歩するショットには嬉しくなった。それからキャリーのアパートのインテリアデザインも見ものと言えよう。





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