カントリー・ストロング

カントリー・ストロング “Country Strong”

監督:シャナ・フェステ

出演:グウィネス・パルトロウ、ティム・マッグロウ、ギャレット・ヘドランド、
   レイトン・ミースター、マーシャル・チャップマン、ラリ・ホワイト、
   ジェレミー・チャイルズ、J・D・パーカー、リサ・スチュワート

評価:★★




 次から次へと新しい音楽が登場している世の中。けれど結局、アメリカ人が最も好きなのはカントリー・ミュージックなのではないか。映画の中でもカントリーは大活躍。21世紀に入ってからだけでも「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」(05年)「今宵、フィッツジェラルド劇場で」(06年)「クレイジー・ハート」(09年)が次々注目を集めた。いずれもカントリー業界で生きる者たちが描かれ、その音楽パフォーマンスは大きな見どころになっていた。その流れに乗ったのが『カントリー・ストロング』。カントリーの気持ち良さを堪能できることを、どうしたって期待する。

 酒によるスキャンダルですっかり落ち目の女性シンガーが主人公。リハビリ施設を出た彼女が再生を目指してツアー出る物語。旅の間に変化していく人間関係により、女は自分自身を見つめ直していく。この極めて平凡な物語に散りばめられるのは、ツアーに同行する夫兼マネージャー、上昇気流に乗る若手男性歌手、新人女性歌手との四角関係。中心となるのが落ち目歌手であることは間違いない。ただ、アンサンブル色が濃く出されている。まとまりがさほど感じられないのは演出力不足ゆえだろう。4人の男女の心理模様が描かれる中、落ち目歌手のパートは役をグウィネス・パルトロウが演じているだけあって、目立っている。ただし、目立ちはしてもたいして胸には迫らない。なぜか。

 作り手が本気で彼女の再生に切り込もうという意思を感じさせないからだ。描写されるのは落ち目歌手の心の弱さだ。ステージ上での失態から流産、以後立ち直れないままの女。心弱き人の、心弱き部分を、心弱きままに映し出す。「彼女は自分に正直なだけだ」なんてセリフが飛び出すものの、ちっとも説得力がない。

 そう、どう考えても落ち目歌手に同情が過ぎる。口から飛び出す湿り気たっぷりのマイナス思考。周囲に迷惑をかけても平然とうだうだ。再び酒に手を出しては醜態を晒す。周囲も腫れ物に触るように彼女に接し、それゆえ彼女は変わらないままに変わろうとしている。でも、苦境を乗り越えるには、それまでの殻を脱ぎ捨てなければならないと誰もが知っている。プロとしてのプライドすら気にかけない女が中心にいることで、画面は活気づかないわ、イライラを誘発するわ、ユーモアが弾けないわ…。カントリーの素朴さ、荒々しさ、そして包み込むような温かさから切り離されたヒロイン。人生が見えてこない。パルトロウもこれでは輝きようがない。次第にアルコール中毒克服物語でも見せられている気分になってくる。

 だから物語を忘れて、若いふたりを眺めることに専念するのが最善の鑑賞法だ。ギャレット・ヘドランドとレイトン・ミースターが大変に愛らしい。ヘドランドの適度に肩の力の抜けたパフォーマンスも悪くないけれど、特にミースターの初々しさが目に焼きつく。ジュリアン・ムーア風のメイクで登場するミースターは、人物造形も彼女にピッタリだ。極端なあがり症で、なのに助けてもらったヘドランドにやたら強気。努力家で、表情を小動物のようにくるくる変える。衣装も華やか。役柄のせいで辛気臭いばかりのパルトロウよりも、断然眺めがいい(ただし声質はカントリー向きとは思えない)。ヘドランドとミースターが服を脱ぎ合い、あわや合体か…という場面の若々しさが眩しい。

 ところで、パルトロウの音楽パフォーマンスはどうなんだろう。上手いか下手かで言ったら上手い方に入るのだろうけれど、何かが足りない。歌唱力のある素人ではあるけれど、プロとは微妙な差を感じさせる。プロと素人の隙間にあるもの、それに気づかないままに堂々たるパフォーマンス。クライマックスのライヴ場面は確かに魅せるけれど、どこか腑に落ちない。音楽は想像以上に深い。





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