スーパー!

スーパー! “Super”

監督:ジェームズ・ガン

出演:レイン・ウィルソン、エレン・ペイジ、リヴ・タイラー、
   ケヴィン・ベーコン、ネイサン・フィリオン、グレッグ・ヘンリー、
   マイケル・ルーカー、アンドレ・ロヨ、リンダ・カーデリーニ

評価:★★




 主人公の中年男のフランクは人生で完璧だった瞬間がふたつあると言う。ひとつは若く美しいサラ(リヴ・タイラーが綺麗)と結婚したとき、もうひとつは逃走犯が逃げた方向を警官に教えたとき。後はあぁ、なんと惨めな人生なんだと嘆く。サラのような美女と一緒になれたのだからそれでいいじゃないかとも思うけれど、まあ、幸せには上限がなく、不幸にも下限がないものだから難しい。『スーパー!』はそんな冴えない男が手作りヒーロー「クリムゾンボルト」になる物語。

 …となると、どうしても思い出すのは「キック・アス」(10年)になるわけだけれど、「キック・アス」がヒーロー論を追究していたのに対し、『スーパー!』はダメ男の内面に着目した物語になっている。日々悪に立ち向かいながら、世間からは暴行犯扱いされてしまうヒーロー。「悪に立ち向かう心が人をヒーローにする」と悟りながら、いちばん欲しいものはなかなか取り返せないヒーロー。ヒーロー映画の側面も確かに持ちながら、大々的に描かれるのは、コミックで言うところのコマとコマの間、実際は省かれてしまうところ。どんな男でも抱えているだろうダメさ加減をブラックな笑いで包み込む。着眼点が面白い。

 あくまで現実的な社会を背景にしているため、暴力描写が過剰に過激になっている。スパナをメインの武器にして、手作りの爆弾や破壊力過多の銃が、次々人間を血祭りに上げていく。人が死に絶えていく様をねっとり撮り上げたり、悲惨な死体を舐めるように見つめたり、暴力の真実を凝視しているというより、グロテスクな画を楽しんでいるように見えるのが悪趣味だ。狙いを定めたショッキングな画が、嫌な気分をまとったチープさに繋がっている。暴力における「ブラック」の定義を間違えている。

 それでもフランクを演じるレイン・ウィルソンの情けない風貌は同情心を煽る。「メタルヘッド」(10年)でも良い味を出していたウィルソンが、男の惨めさをユーモラスに魅せる。頑張る方向が頓珍漢に見えて、しかしどこか憎めない。時折目に狂気が宿るのも気が抜けないところだ。

 エレン・ペイジが演じるコミックストアの店員にして後にクリムゾンボルトの相棒となる「ボルティー」は、動かし方や演技がくどい。ロウテンションのウィルソンに対して、常にハイテンションで突っ走る。無邪気さや若さが煩くて、画面が落ち着かない。物語の中で空騒ぎしている印象が濃厚。退場場面も似つかわしくないだろう。

 クライマックスの後に描かれる後日談的エピソードが作品を象徴している。命を賭けてドラッグの売人から奪い返した妻の行く末にほろ苦さが浮かび上がる。中年男の悲哀がくっきり。それでも彼はヒーローにならなければならなかった。そう思わせるエネルギーが映画にはない。正確には誤った方向に使われている。笑える場面があっても、それが物語の力にならない。





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