フェーズ6

フェーズ6 “Carriers”

監督:アレックス・パストール

出演:クリス・パイン、ルー・テイラー・プッチ、パイパー・ペラーボ、
   エミリー・ヴァンキャンプ、クリストファー・メローニ、マーク・モーゼス、
   キーナン・シプカ、ロン・マクラリー

評価:★★★




 ハリウッドの分かりやすいウイルス感染映画というと、ウォルフガング・ペーターゼン監督の「アウトブレイク」(95年)を思い出す。ダスティン・ホフマンやレネ・ルッソを起用した、いかにもハリウッドらしい大作スリラーだった。『フェーズ6』はそれと比べると、いかにもこじんまりとしたB級感の漂う小品だ。それも金がないゆえに、そうならざるを得なかった感じ。そこのところが、なんだか愛らしい。

 ウィルス物ではあるけれど、パニック映画とは違う。殺人ウイルスが蔓延し、生き残った人々が極僅かであるアメリカが舞台。車に乗った4人の若者が、まだウイルスに侵されていないはずのメキシコのビーチを目指すという極めて単純な話。描き出されていくのは、ウイルスよりも怖いのは人間である…というおなじみのもの。ゾンビ映画は言うまでもなく、様々な映画で取り上げられてきた、使い古されたテーマだ。いや、使い古しなのは構わない。映画なんてものは、語り口、或いは斬り口の個性より魅せる芸術だから、テーマが使い古しでもいかようにも表現することはできるだろう。

 そう、問題は個性が感じられないところにある。いや、そつなくまとまってはいるのだ。無駄な寄り道をすることなくきびきび進むストーリー。感傷に引っ張られないスピード感。コンパクトにタイトに徹した展開。人間関係の変化も無理なく浮かび上がらせることに成功している。でも、終わってみると、もうひとつ物足りない。全てが滑らかに語られることで、かえって腹にズシンとくるもの、胸にフックするものが感じられないのだ。おそらく作り手としてはできる限りのことをして、実際思い描いた通りの映像になっている。でもそれゆえに、全てがB評価で統一された優等生映画のような印象を与えてしまってもいる。破綻してもいいから、どこか突き抜けたところが、この映画ならではのものが欲しかった。簡単に言うなら、パンチに欠ける。

 ただ一箇所、後に引く場面がある。4人の中でウイルス対策の先頭に立っていた(それゆえ非人間的に見えるところのある)青年が、ある出来事により精神的・肉体的ダメージを受ける。そして、大人しくコトの成り行きを見守るばかりだったその弟に突っかかるところ。このシーンを観て思ったのだ。「偽善」を根底に置いたカミング・オブ・エイジ ストーリーとして見たならば、なんともブラックな味つけが効いているではないかと。生死のかかった状況下では正論など何の力にもならないという現実。それに直面する弟の「変化」を「成長」と見なすことで、映画全体が違った見え方をしてくるのが面白い。





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