シンディにおまかせ

シンディにおまかせ “Extract”

監督:マイク・ジャッジ

出演:ジェイソン・ベイトマン、ミラ・クニス、クリステン・ウィグ、
   J・K・シモンズ、デヴィッド・ケックナー、クリフトン・コリンズ・ジュニア、
   ダスティン・ミリガン、ベス・グラント、T・J・ミラー、ベン・アフレック

評価:★★




 ジェイソン・ベイトマンが演じていることからも分かるように、主人公はいたってフツーだ。香料工場の社長として頑張る毎日。ただ、彼が頑張れば頑張るほどに、コトは上手く運ばない。彼の周囲を取り巻く者たちが、常識からちょっとずつズレているからだ。コーエン兄弟の「シリアスマン」(09年)からユダヤ人要素を抜き取った感じと言うと分かりやすいかもしれない。『シンディにおまかせ』はフツーの男の受難の日々がのんびりと描かれる。

 話の前半は登場人物の濃さで勝負している。仕事に文句タラタラの従業員。片タマを負傷して訴訟に踏み切る主任候補の男。ヘタクソなバンドに興じる若者。胡散臭い弁護士。ジャージで夫を出迎える妻。親友にピントのずれた指南をするバーテンダー。性欲は十分だが頭の回転の遅いジゴロ。顔を見るとお節介な会話を延々と続ける隣人。彼らは基本的に他人のことを深く考えない。それゆえの頓珍漢なエピソードが並べられる。生温いところも多いけれど、明朗な語り口ゆえか、悪い気分にはならない。

 彼らのやや自堕落的な日常のカンフル剤となるのは、シンディという名の女詐欺師だ。彼女は男がどんなことに喜ぶのかを知り抜いている。セクシーな容姿をしているのに、女の武器を前面に出すことは極力避け、口から飛び出す魔法の言葉で男たちの心をガッチリ掴んでいく。男がセクシーな女を好きなのはもちろんだけれど、同時に親しみやすさも大きな安心感を与えるものとして効果的であることをシンディは本能的に分かっている。演じるミラ・クニスが役柄にピッタリ。あの妖気を全身にまといながら、同時にガールネクストドア的な匂いを醸し出している。

 ただ、詐欺によって生計を立てている女の割りに、計画が雑だったのは惜しい。そりゃすぐにバレるだろうという簡単な手口。ここはひとつ、もっと捻りを効かせて、スマートさを強調しても良かったのではないか。悪女でありながら、実は聖女的存在である点が、鮮やかに浮かび上がったかもしれない。

 シンディにより知らず知らずのうちに動かされている者たちを見ると、男ってバカな生き物だとつくづく思う。物事を自分の都合の良い風に捉える能力が発達していて、しかもそれに何の疑いも抱いていない。物語は主人公を中心に、男たちの思慮の足りなさを笑い飛ばしているけれど、同時に彼らを優しく見つめてもいる。バカはバカでも気のイイバカばかりなのだ。お人好し的思考がベースに敷かれているような男たちが憎めない。特に妻を寝取られた主人公と、寝取った若い男の顛末は、ありえないだろうと思いつつ、ついホロリとさせられる。

 男の災難が方々に飛び散っているため、話がどこに向かっているのか分からないのは大きな欠点と言えるだろう。工場の立て直し、訴訟の準備、妻との関係修復、謎の女シンディとの駆け引き…。フツーの男である主人公は全てを抱えられない。それならば話の幹をもっと頑丈にして、枝葉を軽やかに揃えた方が良かった。工場話を軸に置くのが妥当なところだろう。脇の人物もその方が個性をアピールできたと思う。





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