TWELVE トゥエルヴ

TWELVE トゥエルヴ “Twelve”

監督:ジョエル・シュマッカー

出演:チェイス・クロフォード、ロリー・カルキン、カーティス・ジャクソン、
   エミリー・ミード、エマ・ロバーツ、エスティ・ギンズバーグ、
   ビリー・マグヌッセン、エレン・バーキン、キーファー・サザーランド

評価:★★




 日本のティーンエイジャーにもワルはいるけれど、アメリカのティーンエイジャーのそれと較べると可愛いものだ。いかにもな服装のヤツらがコンビニ前でたむろして、せいぜいタバコを吸って身のない会話を交わすくらいのものだろう。アメリカのワルは外見自体は普通。いや、むしろリッチだ。学校社会では「上流階級」に入るようなのが、アメリカのワルなのだ。彼らは親の金を湯水のように使い、ドラッグやアルコール、美容に手間をかける。彼らが勝負を賭けるのはパーティだ。目一杯自分を飾り立て、ドンちゃん騒ぎの中で、誰よりも目立とうと必死だ。『TWELVE トゥエルヴ』を観ると、そういうアメリカのワルのバカさ加減が良く分かる。ホント、バカ。ほとんどバカパラダイス。

 そして、日本のワルがそうであるように、アメリカのワルも人間的な底が浅いのは同じだ。彼らは誰よりも自分が好きで、自分を可愛がるために快感を求め、そのためには労力を決して惜しまない。セックスしたい。ドラッグでぶっ飛びたい。アイツより優位に立ちたい。そんな彼らの生態を見つめて、何か面白いところがあるだろうか。

 綺麗な子が大好きなジョエル・シュマッカー監督はどうやら彼好みの容姿をした登場人物を次々登場させ、その愚かさを綴っていく。彼らは十代ならではの狭い空間の中で手足をジタバタさせているけれど、決してそこから飛び出すことをしない。言い換えるなら、本当の「世界」に直面しないままに、享楽に耽っている。そこからドラマが浮かび上がらないのは当たり前だ。

 そもそも小さな世界の中心人物のひとりである主人公の造形が弱い。母を亡くしたことをきっかけに、突如ドラッグディーラーとして目覚めるというのは面白いのに、彼は同級生たちにドラッグを売り捌く以外の行動を見せない。彼の特徴のひとつに、ドラッグディーラーでありながら、自身はドラッグどころかアルコールもタバコもやらないというのがある。その理由が「優越感に浸りたいから」というんだもの。全くもって、薄っぺらだ。無実の罪で殺人容疑をかけられる友人の方が、まだドラマティックだ。

 ただ、主人公を演じるチェイス・クロフォードが大変綺麗な容姿をしていることは否定できないところ。真っ白の肌。ブルーの瞳。女の子のように多い睫毛。キリリとした眉毛。口周りにヒゲを生やしてもファッショナブル。ガタイも良くて、立ち姿が美しい。アンダーグラウンドに足を突っ込んだダーティな役柄なのに、清潔感がこれほどに出ているとはどうしたことか。演技力がないということか。いや、そうだとしても若さで勝負できる今現在はたいしたことではないだろう。黒のパーカーコートを羽織り、ケータイを耳にかざし、静かな物腰で歩く。まるでファッション誌のグラビアのようだ。映画の力には結びつかない美しさに見入る。

 全然動かなかった物語は、残り30分を切ってから急展開を迎える。それまであからさまにばら蒔かれていた火種が遂に爆発するのだ。彼らに同情するところも思うところも全然ない。良いお灸になっただろうぐらいの感想しか出てこない映画だ。





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