カーズ2

カーズ2 “Cars 2”

監督:ジョン・ラセター、ブラッド・ルイス

声の出演:オーウェン・ウィルソン、ラリー・ザ・ケーブル・ガイ、
   マイケル・ケイン、エミリー・モーティマー、エディ・イザード、
   ジョン・タトゥーロ、トーマス・クレッチマン、ジョー・モントーニャ、
   ボニー・ハント、トニー・シャルーブ、ジェイソン・アイザックス、
   ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ブルース・キャンベル、チーチ・マリン

評価:★★★




 世の中には続編映画が氾濫していて、そういうのは大抵が商業主義に偏った退屈な仕上がりとなる。一作目のファンへの恥ずかしい目配せやら、キャラクターに寄り掛かった平坦な物語やら、やたらスケールだけを大きくした短絡さやら…。だから「トイ・ストーリー」三部作は別格として、ピクサーが「カーズ」(06年)の続編を送り出してきたのには落胆した。ピクサーにはもっと彼らにしかできない独創性を追求して欲しいと思うのだ。とは言え、ピクサーは続編映画と言えど、同じことの繰り返しには全く興味がなかったようで、『カーズ2』はいきなりスパイ映画となる。ピクサーの良心がちらつく。

 尤も、スパイ映画に仕立て上げるその試みが成功しているとは言い難い。画は相変わらず綺麗だし、次から次へと出てくる車の描き分けも難なくできている。物語の展開のさせ方もスピード感があって気持ちが良い。ただ、「ハート」という点で物足りないのだ。推測でしかないけれど、ひょっとすると『カーズ2』は「語りたい話」よりも「魅せたい画」が先にあったのではないか。こういう画を撮りたい、その際にはこういう演出をしたい。そういう断片的な希望がいちばんで、それを実現するにはどういうストーリーが良いだろうか。という流れで骨組みができていったのではないか。もちろんそういう作り方が悪いわけではないのだけど、先に語りたい物語がない場合、枝葉をいくら充実させても、それ自体の見栄えを良くするのは難しい。例えば「勘違い」で長々と引っ張るあたり、ピクサーのスマートさに欠ける。細部は面白くても、問題だろう。

 だからそう、ディテールに目を凝らしている分には本当に楽しい。中でもスパイ描写が目を惹く。ジェームズ・ボンドよろしく登場するヴェテランスパイカーが、アニメーションならではの柔軟性たっぷりのアクションを織り交ぜながら、次々に見せ場をさらっていく。擬人化されたパフォーマンスもさることながら、それこそボンド映画やバットマン映画でお馴染みの、改造されたメカの楽しさが詰まっている。男の子心を刺激する世界。滑らかにボディをチェンジさせながら、鮮やかな色をした車たちが行き交う、それだけで十分画がモッてしまう。

 それから主人公がライトニング・マックィーンからおんぼろレッカー車のメーターに完全にチェンジされているのには驚いた。メーターの活躍の比重が増えているというのではない。ここでのマックィーンは完全に脇役。スパイに間違われたままに、それなりに活躍してしまうメーターこそが、単独主人公。一作目の財産に頼らない挑戦のひとつに違いない。そして実際、それに応えられる魅力をメーターが具えている。空回りの淋しさとそれを吹き飛ばす明朗さが、そのまま作品の魅力になっている。

 イタリアやフランス、イギリスと並んで、日本が大々的に出てくるのに、どうしても目が留まる。日本がそのままに映し出されているかというと大いに疑わしくて、勘違いニッポンとは言わないまでも、チカチカするネオンがやたら強調されているのには落胆した。他の国が落ち着いた色合いで大人っぽく演出されていたので、余計に残念。まあ、確かにそう見えても仕方がない部分もあるのだろうけど、いや、でもなぁ。日本を取り上げてくれただけでも有難いと思うべきか。

 …とそんなこんなで、ピクサーとしての失敗作かもしれないけれど駄作ではない。結局そこいらのアニメーション映画とは完成度が違う。高過ぎる期待値に応え続けてきたピクサーだから、たまにはこんなこともあるだろう。コケてもこれだけ魅せられる、妙な感心をさせられる映画なのだった。





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