復讐捜査線

復讐捜査線 “Edge of Darkness”

監督:マーティン・キャンベル

出演:メル・ギブソン、レイ・ウィンストン、ダニー・ヒューストン、
   ボヤナ・ノヴァコヴィッチ、ショーン・ロバーツ、
   デヴィッド・アーロン・ベイカー、ジェイ・O・サンダース

評価:★★★




 かつてメル・ギブソンは息子を誘拐された際、メディアを最大限利用しながらジリジリと犯人を追い詰めた(「身代金」(96年))。あれから15年が経ち、今度は娘を誘拐されるどころか殺されてしまうから、さあ大変。仕掛けられる前に仕留めてやるとばかりに、シレッと法を突っ切って暴走するギブソンは、静かに燃える牛の如し。ひぃぃぃ、誰が止められるかっちゅーの。

 娘との再会は雨の夜。ささやかな照明。そしてムーディなジャズミュージック。最初ハードボイルドのカッコ良いセンを狙っているのかと思ったのだけど、どっこい『復讐捜査線』で見えてくるのは70年代風社会派スリラーの趣だ。それも泥臭さ満点の。特に新しい題材でもないけれど、懐かしくも新鮮という面白い匂いが常にキープされている。オリジナルは85年製作のBBCのTVシリーズだそうで、そのあたりに匂いの源がありそうだ。

 キーワードのひとつは「暴力」だろう。ギブソンのこれまでのアクション映画が、ユーモアが味つけされることで暴力画面の表情が和らいでいるものが大半だったのに対して、ここでは「暴力」を「暴力」のままに見せることに徹している。ギブソンが監督作になると途端に暴力にシヴィアになる映画人だったことを思い出す。銃や車が凶器となる暴力も強烈ではあるものの、最も心に残ったのは、ヨボヨボのジイサンを殴りつける場面だ。気持ちは分かる。いや、でも、死んじゃうから!暴力に対して変に生真面目な映画人としてのギブソンが見え隠れするようで、ゾッとしながらも面白い。

 レイ・ウィンストンがユニークな始末人を演じていて、これが物語のアクセントになっていることに注目したい。ウィンストンは見かけはああだけれど、実にムード作りが上手い俳優で、ギブソンとふたりきりの場面はまるで定年間際のオッサンたちが茶をすすりながら俳句でも詠んでいるような味わいを湛えている。意表を突いて、彼が出てくると画面が穏やかになるのだ。しかも、底に刺激を落としていくことを忘れずに…。

 ギブソン主演作は「サイン」(02年)以来8年ぶりの登場ということになるらしい。なるほどギブソンは、相変わらず足が短いままに、しっかり老けた。おでこのシワはアリが落下しそうに深いし、白髪もたっぷり、薄くもなっている。そして目に妖気混じりの力が出てきた。私生活の苦労が全て目に封じ込められているような、凄味が感じられる。ひょっとして俳優とて最も面白いのはこれからなのかもしれない。

 ところで、ギブソンがパソコンを使う場面が出てくる。そのときの手つきが…演技なのかもしれないけれど、どう見てもアナログ人間のそれで嬉しくなった。それで結構。ブラインドタッチなんかとは一生無縁でいてもらいたい。





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