ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 “Harry Potter and the Deathly Hallows - Part 2”

監督:デヴィッド・イェーツ

出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント、
   レイフ・ファインズ、ヘレナ・ボナム=カーター、マイケル・ガンボン、
   アラン・リックマン、マギー・スミス、マシュー・ルイス、
   ロビー・コルトレーン、ジェイソン・アイザックス、ジョン・ハート、
   ジュリー・ウォルターズ、マーク・ウィリアムス、トム・フェルトン、
   ボニー・ライト、ジェームズ・フェルプス、オリヴァー・フェルプス、
   イヴァナ・リンチ、エマ・トンプソン、デヴィッド・シューリス、
   ゲイリー・オールドマン、ジム・ブロードベント、ヘンリー・マクローリー、
   シアラン・ハインズ、ケリー・マクドナルド

評価:★★+★




 10年かかって辿り着いた『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』にて、遂にシリーズが完結する。最も恐ろしく感じられるのは、あんなに可愛かったハリー役のダニエル・ラドクリフ(とネビル役のマシュー・ルイス)の激しいオッサン化だ。どんな風に成長するかなんて、一作目の「賢者の石」(01年)の頃には予測できなかっただろうから仕方ない。原作を知っているとどうしても違和感は拭えないのだけれど、それでもこのシリーズ、一作目から八作目まで(一部の例外はあるものの)配役が全然変わらなかったのは素晴らしい。一作目は原作ファンに納得してもらえるようにイメージ通りの配役がなされ、それ以後は演じた俳優についたファンの期待を裏切らないように配慮された映画製作が続けられた。何よりもファンありきのシリーズ。人気がこれだけとてつもないと、裏側も大変になる。

 もちろん全てが原作通りにはいかないし、演出、脚本、演技や技術等についてアレコレ言うことも可能だけれど、実のところ、もはや批評性を頭に入れながら観るべきシリーズではないような気もする。あんなに小さかったハリーやロン、ハーマイオニーがこんなに大きくなった、そして周囲の大人たちに助けられながら、巨悪に真正面から立ち向かうまでになった、その成長を愛でながら感慨に咽ぶ。そこのところに価値があるのではないか。

 『死の秘宝 PART2』には「PART1」(10年)で前面に出ていた登場人物の葛藤というものが、ほとんど感じられない。「PART1」はもちろん、『PART2』以前に積み上げられた七作の遺産に寄り掛かったドラマが塗されるばかりで、新たなる衝撃だとか苦悩だとか、身体の内面でドラマティックなうねりが巻き起こることは皆無。10年という時の流れの中で生まれた想いが綺麗に回収されていく、ただそれだけがしかし、なんだかエモーショナルな部分を突いてくる。一緒に10年を歩んできた、その重み。それを映画の評価として考えるのは間違っていると承知しつつ、公開になる度に映画館を活気づけるイヴェント的な役割をきっちり果たしてきたシリーズへの、知らず知らずのうちの何かが胸を熱くすることは否定できない。

 「PART1」よりトーンがめっきり暗くなり、今回などほとんど戦争映画の趣を湛えている。死体があちこちに横たわる中を子どもたちが戦うなんてファンタジーは、これ以前には考えられなかった。「死」を「死」として捉えるセンスを筆頭に、決して甘ったるいところに陥らないのが有難い。

 ただし、もう少し「死」を飾り立てる演出は欲しかった。これまで重要な役割を担ってきたキャラクターが命を落とす場面は少なくない。けれど、その「死」はほとんど駆け足で紹介されるのみ。大勢の人間がぶつかり合う中、彼らはいつの間にか命を落とし、次の場面では遺体の周りで涙が溢れている。そこから生じる哀しみや怒りも大変あっさり処理されている。時間的制約があるのだろうけれど、それに触れないことで役の扱いが軽く見えるのは残念無念(「あの人物」の本当の姿も時間を割かれて描かれている割りに全く心に残らない)。

 「PART1」でホグワーツが全く出てこなかった反動なのか、今度は序盤にグリンゴッツ銀行場面が出てくるだけで、残りは全てホグワーツでの戦いとなる。そのため、めまぐるしい編集がなされる割りに、同じ画をずっと見せられているような気分になる。画面の色合いだとか視覚効果の入れ方だとか慎ましさが適当なので、余計に惜しい。抑揚のつけ方を工夫して欲しい。

 クライマックスはハリーとヴォルデモート卿の一騎打ちであることは言うまでもないけれど、あと5分長く盛り上げても良かった。両者の思いがけない結びつきの強さが大きなドラマを生むべきところなのに、意外なほどさらりと済まされている。身体を張った戦いではなく、魔法同士がぶつかり合う戦いの限界なのかもしれない。

 それにしても…原作でもそう思ったのだけど、あのエピローグは必要なのだろうか。「メイク」のせいか、思わず笑いが…。まあ、いいか。ちゃんと「お疲れ様」と言葉をかけたくなったし…。





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