BIUTIFUL ビューティフル

BIUTIFUL ビューティフル “Biutiful”

監督:アレハンドロ・ゴンザレイス・イニャリトゥ

出演:ハヴィエル・バルデム、マリセル・アルヴァレス、
   エドゥアルド・フェルナンデス、ディアリァトゥ・ダフ、
   チェン・ツァイシェン、ハナ・ボウチャイブ、
   ギレルモ・エストレヤ、ルオ・チン

評価:★★




 「あなたといると気分が沈んでしまうのよ」。『BIUTIFULビューティフル』のハヴィエル・バルデムはある人物からこんな風に言われる。男はスペインのバルセロナで、陽の当たる場所とは無念の、荒んだ人生を送っている。不法移民に深く関わる犯罪に手を染めて金を稼ぎ、時折霊媒師じみた仕事もしている。顔はいつも疲れている。「ノーカントリー」(07年)であれだけ冷酷に人を殺しながら可笑しかったバルデムが、ここではユーモアの入り込む隙を一切与えない。

 要するにアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は酷く真面目に題材に向き合っている。法令によって容易くは善悪を決着できない社会問題。余命幾許もない男の覚悟と揺れ。止まらない負の連鎖。確かに誠実さが求められるテーマを扱ってはいるけれど、ここまで深刻さを掲げられると、さすがに気が滅入ってくる。過酷さばかりが強調されるあたりに、作為がちらつく。

 それでもイニャリトゥの織り上げ術は達者だ。ギレルモ・アリアガが脚本を担当してないため、いつものような時制シャッフルはないのだけど、それゆえじっくりと物語が語られる。中盤までは男の日常の描写と平行して、その周辺人物のパーソナリティや生活も描かれていく。最初は誰がどういう人間でどういう風に繋がっているのか理解できない場面もあるものの、丁寧に見つめていくうちに、バルデムを中心にした一枚の地図が出来上がっていくことに気づく。単純明快な相関図に終わらないのが力量の証か。パズル的ではないのに、地図が見えてくるとそれに近い快感が浮上する。

 地図は誰にでも簡単に読めるようにはなっていない。イニャリトゥは地図に現実をぶつけることを怖れない。そのため地図には裂け目が生じる。そしてそれが新しい裂け目を生んでいく。裂け目に向き合ってこその人生とでも言いたいのだろう。

 けれど、どこか他人事のように感じられるのは何故だろう。「バベル」(06年)でもうっすら感じたのだけど、イニャリトゥは物語や登場人物との距離感に冷静過ぎるのではないか。熱くならないのは結構なことではあるものの、常に落ち着いた眼差しがかえって不可解。

 ただし、湿っぽさを排除できたことは褒められていい。涙でびしょ濡れにすることもできる題材だけれど、感傷とは無縁の位置で腰を保っている。感情移入はできなくても、男の生き方は凄味と共に心に残る。理解とは別のところで、男の最後の歩みに共鳴を覚える。





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