恋する2人の解説書

恋する2人の解説書 “My Girlfriend's Boyfriend”

監督:ダリン・タフツ

出演:アリッサ・ミラノ、クリストファー・ゴラム、マイケル・ランデス、
   ボー・ブリッジス、キャロル・ケイン、ケリー・パッカード

評価:★★




 若い男がアパートに駆け込んでくる。目当ては女だ。エレヴェーターを待つ時間も惜しく、彼は階段を駆け上がる。ドアを叩く。同居人が顔を出す。そして男に告げる。「彼女は発ったわ。空港よ。もう間に合わない」。それを聞いた男は再び走り出す。向かう先はもちろん空港。しかし、着いたときには彼女の便は発った後。落胆した男の背中に声がかかる。「何か探し物ですか?」。振り返ると、実は発つのをやめた女がいる。

 冒頭のこの場面は、登場人物の一人である作家志望の男が書いた小説を映像として紹介したもので、出版社からあっさりダメ出しを喰らう。当たり前だ。100年前の少女漫画のようなコッテコテの展開。ちょっと耳にしただけで赤くなってしまうほどに恥ずかしい。ベタにもほどがあるというヤツ。でも『恋する2人の解説書』のその後の展開を観て思ったのだ。ベタの方がマシなときもある。ベタにすらならない特徴のない物語は、あぁ、なんと辛いのだろう。

 コーヒーショップに勤める離婚したばかりの女。作家志望の若い青年。広告会社のエリートマン。ふたりの男が同じ女に恋する物語で、簡単に言ってしまうと三角関係が描かれる。ありふれたこの設定で最も困るのが、キャラクターに個性がない点だ。女は溌剌としていて、作家青年は心優しく、エリートマンは夢のようなデートを叶えてくれる。彼らはそれぞれにいいところがある。彼らの掛け合いはその美点を追ったものではあるものの、しかしそれゆえ心にフックするものがない。大抵の場合、個性というのは欠点に密接に結びついてるものだ。それを全く無視したままに話が進めるのは話の平坦さに繋がってしまう危険な行為だ。

 それにそもそも、どうやら悪気はないようだけれど、女は二股女なのだ。いくらデート中に笑顔と愛想を振り撒いても、なんとしたたかな女なのだろうという気持ちを抱くことになる。そして当然それは不快さに変換される。口では誠実そうなことを言っておきながら、結局二股女ではないか。実はこの映画には大きな「仕掛け」が用意されていて、これはそれゆえの結果なのだけど、それが明らかになるまではずっと腑に落ちないままだ。女がはしゃげばはしゃぐほど冷めた気分になるのは困りものだ。ロマンティック・コメディは楽しくなくてはいけない。

 それにこの「仕掛け」を用意するなら、広告会社エリートマンとのデート場面をもっと煌びやかにしなくてはいけないだろう(それを理想として見るのはどうかと思うけれど)。作家青年とのデート場面と比較して感情面において差がほとんどないため、作家青年の才能に首を傾げるハメになる。現実と夢の世界の境目がぼんやりしていては、結末が映えてこないというものだ。

 アリッサ・ミラノを映画で観るのはいつ以来になるのだろう。久しぶりに観たミラノは、少女時代とは違って随分ハードな雰囲気だ。アゴが尖がり、口が裂けたように大きくなり、目力がやけに強い。マリア・ベロ風と言うか、アクを抜いた岡本夏生風と言うか、オカマチャン風と言うか。やけにくどい存在。肉の国アメリカならではの変貌。クリストファー・ゴラムとの相性は悪くないし、いつも身につけているパステルグリーンのネックレスは素敵だったけれど。





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