ロシアン・ルーレット

ロシアン・ルーレット “13”

監督:ゲラ・バブルアニ

出演:サム・ライリー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ローク、
   マイケル・シャノン、レイ・ウィンストン、カーティス・ジャクソン、
   アレクサンダー・スカルスガルド、エマニュエル・シュリーキー、
   ギャビー・ホフマン、デヴィッド・ザヤス、ベン・ギャザラ

評価:★★




 サム・ライリーが読み通り頭角を現してきたのが嬉しい。マンチェスター出身のポストパンクバンド、ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカル、イアン・カーティスを描いた「コントロール」(07年)で妖艶な空気を発散、コイツは大物になると早々と確信していたからだ。この映画でも目に独特の妖気を漂わせていて、堂々たる主演男優ぶり。ちょっとカイル・マクラクラン的な変態性が出てきたのも面白い。

 ライリーのいちばんの見せ場はもちろん、死が目前に迫っている場面での、力んだ表情だろう。大きく見開かれた切れ長の目。ぽとぽとと滴る脂汗。ぷるぷる震える頬の筋肉。極度の恐怖と緊張が、ライリーの身体を貫く。眺めていると、スクリーンを跳び越して観る者へ伝染してくるほどの見えない力を感じる。服を脱いだ際の締まりのないダブついた身体には、この際目を瞑る。

 『ロシアン・ルーレット』はフランス映画「13/ザメッティ」(05年)を同じゲラ・バブルアニ監督がアメリカ映画としてリメイクしたものとのことだけれど、ライリーの妖気に見合った面白さは感じられない。そもそもサスペンスを“ロシアン・ルーレット”のみに頼っているのがつまらない。ワケありの者たちが集まったアンダーグラウンド。17人の男たちが円になり、前の者に銃口を向ける。あとはロシアン・ルーレットの要領で、最後まで生き残った者が大金を手にする、実にシンプルな仕組み。つまり死んだらそこでゲームは終了する。生きるか死ぬか、というあまりにも分かりやすいスリルもチープだけれど、それよりも問題なのは主人公の立ち位置だろう。こういう設定にしてしまうと、当然主人公が序盤に死ぬわけがないのだ。そこで映画が終わってしまうのだから。つまり観ている方は、大変な安心感を持ちながら見守ることになる。ライリーの演技を楽しむ余裕たっぷりに。案の定、死んでいくのは無名の役者が演じた役ばかり。

 ミッキー・ロークやレイ・ウィンストンのような名の知れた俳優をゲームの中に放り込む、その理由が分からない。意味深に登場する割りに、彼らについて何のドラマも触れられない。性格俳優たちはゲームのコマに過ぎず、ますます主人公の安全が確保される。ひょっとするとミスリードのつもりなのかもしれないけれど、だとしたら、あぁ、なんと底が浅いのだろう。

 せめてロシアン・ルーレットの技を詳細に描くことはできなかったのだろうか。運がモノを言うとは言え、しかしそれだけでは生き残れないものだろうに、誰も彼もが死を覚悟しながら勝負に挑む単純な繰り返しに終わっている。マイケル・シャノンのいかにもな進行により勝負が進められても、これでは盛り上がりようがない。ウィンストンなど3回続けて勝利しているという設定なのに、ただの太ったオッサンにしか見えないではないか。

 勝負が終了してすぐに映画が終わらないのが鬱陶しい。完全なる蛇足というヤツで、勝負のその後を描いたからと言って、物語に奥行きが出るわけではない。わざわざ後味を悪くしているだけの印象が強い。

 ライリー以外にも気になる役者が出てくる。ライリーを競技場にまで連れてくる男を演じたアレクサンダー・スカルスガルドだ。撫でつけた髪と鋭い眼光に狂気がちらつく。そしたらなんと、あのスウェーデンの怪優ステラン・スカルスガルドの息子というではないか。オヤジよりも随分ハンサムだけれど、十分危うさは受け継いでいるようだ。ライリーとの絡みをもっと観たかった。それから久しぶりに観たギャビー・ホフマンには驚愕。まだ若いだろうに、すっかりオバサン。あぁ、時の流れの残酷さを感じずにはいられない。





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