フローズン・ドリーム 煽情の殺人

フローズン・ドリーム 煽情の殺人 “Winter of Frozen Dreams”

監督:エリック・マンデルバーン

出演:ソーラ・バーチ、ブレンダン・セクストン・サード、
   キース・キャラダイン、レオ・フィッツパトリック、ダン・モーラン、
   ディーン・ウィンタース、コリーン・キャンプ

評価:★




 アメリカで初めて裁判の模様がTV中継された事件が基になっているのだという。さぞかしスキャンダラスな事件が展開するのだろうと想像してしまうのだけれど、何のことはない、巷に溢れかえっている(と書くと御幣があるか)陳腐な保険金殺人事件でしかなくてガッカリした。凡人が思いもしない複雑怪奇な心理模様…はどこにも見当たらず、小さな人間が起こした愚かな事件の真相が見えてくるのみ。今はなき火曜サスペンス劇場あたりでかかるのがピッタリな、お値段安めの物語。せめて火サスみたいに推理的な面白さを目指してくれれば良かったのに、どうやら作り手は人間ドラマに比重を置いたようだ。目指す方向が頓珍漢。

 『フローズン・ドリーム 煽情の殺人』のいちばんの問題は、ヒロインがちっとも面白くないところだ。知能指数が146もあるというのに大学を中退、売春婦に身を落としてしまった女。頭が良いはずなのに、解き明かされていくその生活実態は褒められたところがまるでなく、浅はかな計画で殺人を犯し、それゆえに当然のように逮捕され、有罪を言い渡されて服役に至るという、あまりにも当たり前の人生。そうなのだ。このヒロイン、意表を突くところが全然ない。売春宿のオーナーと関係を持ちながら、孤独な客を利用、さらには別の若い男も自分の思い通り操ろうとする。他人を使って金をせしめようとするだけで、それ以上でもそれ以下でもない。せっかく力のあるソーラ・バーチが演じているのに、これはないだろう。

 いや、バーチが主演しているから、作り手は甘えてしまったのかもしれない。なんだか少女時代の愛らしさが信じられないくらいにゴスっ娘風になっているバーチが、髪を黒く染め、キツいメイクをして、無表情のままにコトを思い通りに進めようとする。まるで裏で黒魔術でもやっていそうな胡散臭さ。ちゅーか、黒魔術、ホントにやってたら良かったのに。その方が面白かったのではないか。いくらバーチが雰囲気を出しても、ヒロインが見たままの言動に縛られているため、話が広がっていきようがないのだ。人物の吸引力の弱さがそのままの物語の弱さに繋がっている。

 構成も変に凝ったものにするべきではなかった。時間軸に沿って描き出していけば、まだ物語が展開していく気持ち良さを感じられたかもしれない。過去と現在を自在に行き来しながら事件の全容を明かしていく手法が煩い。パズルのピースを合わせるように、事件の一部を切り貼りしても、出来上がるものは結局たいした事件ではないのだから。80年代らしい色彩感覚と雪が降り続く寒々とした景色こそちょっと引きつけられるものの、結局再現ドラマ程度の映像に落ち着く。物語を見つめる視線が定まらないのも集中力を削ぐ。

 刑事を演じるキース・キャラダインはすっかりジイサンになったけれど、やっぱり依然セクシーなところがある。立ち姿がカッコイイ。ハリウッドはもっと彼を大切にするべきだ。思わせぶりに登場した割りに、全然活躍しないのに驚く。ブレンダン・セクストン・サードは少年期とはすっかり別人。何があったのだろう。

 登場人物のひとりがこんなセリフを言う。「愛は最上の薬だ。でも副作用があるんだ」。このあたりを意識した作りにしたなら、女が落とす愛の媚薬に惑わされた男たちの物語として楽しめたかもしれない。





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