ファースター 怒りの銃弾

ファースター 怒りの銃弾 “Faster”

監督:ジョージ・ティルマン・ジュニア

出演:ドウェイン・ジョンソン、ビリー・ボブ・ソーントン、
   オリヴァー・ジャクソン=コーエン、カーラ・グギノ、マギー・グレイス、
   ムーン・ブラッドグッド、ジェニファー・カーペンター、トム・ベレンジャー

評価:★★★




 プロレスラーからアクションスターへと順調な転身を遂げたザ・ロック。ドウェイン・ジョンソンという名前もすっかり映画ファンにおなじみのものとなったけれど、つい“ザ・ロック”と呼びたくなるのは、その親しみやすさによるところが大きい。彼の大半の映画はコメディ要素が前面に出てくる。その優しい顔立ちが“シリアス”を許さないのだ。役柄上冷徹に徹しても、人の好さは隠せない。真面目に“シリアス”をキメても、どうしてもどこか可笑しい。

 …と書くと、まるでザ・ロックの欠点のようだけれど、いや、むしろそれは大きな武器、大切な個性と言って良い。シリアスな展開でも笑える。でもそれは滑稽だからなのではない。愛敬の問題であり、彼の場合これがスター性に直結している。シルヴェスター・スタローンの場合も笑えるけれど(そして、怖くもあるけれど)、そこに愛敬は存在しない。別のところで笑えるのだ。ザ・ロックは愛敬を武器にスクリーンを自分のものにするスターということだ。

 わざわざ断わったのは『ファースター 怒りの銃弾』が、そのザ・ロックの持ち味が全ての映画だからだ。何者かにハメられて10年の刑務所生活を送った男が主人公。出所後彼が人間凶器となって復讐に乗り出すストーリー。愛する者を殺された男が復讐に走る話に笑いが入る隙はなく、実際そういう演出になっているのだけど、やっぱり可笑しい。どこかユーモラス。笑みを浮かべてしまう。そしてそれはザ・ロックが発信する、憎めないチャームがベースとなっている。

 冒頭からシリアスなのにやたら可笑しい。出所の日、自身が抱えている苛立ちや怒りを隠そうとしないままに解放された男。丸刈り。無精ヒゲ。ゴツイ身体つき。チープなTシャツから覗く太い腕。そこに刻まれたタトゥー。浮き出た血管。いかにもアクション映画の主演男優的なのに、顔だけは優しさを隠し切れていない。その彼が砂埃舞う青い空の下で最初にやることは何か。バスに乗ってどこかに向かうのかと思いきや、大真面目な顔をして、唐突に走り出すから笑ってしまう。そして準備されていた車に飛び乗り、一流のドライヴィングテクニックを使って一人の男のオフィスへ。そして銃弾を一発。表情を変えぬままにそこを後にする姿は、さながら必殺仕事人。ザ・ロックもちょっとだけ自分に酔ってるかもしれない。酔っていても、気持ち悪くならないから素晴らしい。

 危惧していたほどには銃弾は消費されない。一発一発に怒りが込められていることが伝わってくる撮り方になっている。銃弾の消費数によってサスペンスを生み出そうという作りにはなってない。作り手の誠意が感じられる。

 クライマックスはもっと盛り上げて欲しかった。最後の敵が現れ、いよいよザ・ロックと対決をするのかと思いきや、不意討ち的な要素が強く、実にあっさりしたもの。ドラマ性を重視したのかもしれないけれど、どうせ「からくり」は見え見えなのだから、もっと引っ張っても良かったのに。ビリー・ボブ・ソーントンとオリヴァー・ジャクソン=コーエンの動かし方も巧く機能していないのが残念だ。

 そうそう、ザ・ロックが立ち寄った先の、ある女の別れ際のセリフが素晴らしい。ザ・ロックの背中に向かって言い放つ。「TVで見たわ。皆殺しを祈ってるわ!」。依然妖気ぷんぷんのジェニファー・カーペンター。うん、その言い方は正しい。





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