ジュリエットからの手紙

ジュリエットからの手紙 “Letters to Juliet”

監督:ゲイリー・ウィニック

出演:アマンダ・セイフライド、ガエル・ガルシア・ベルナル、
   ヴァネッサ・レッドグレーヴ、クリストファー・イーガン、
   フランコ・ネロ、マルシア・デボニス、ルイーザ・ラニエリ、
   マリナ・マッシローニ、リディア・ビオンディ、ミレーナ・ヴコティッチ

評価:★★★




 アメリカ人はイタリアが大好きだとつくづく思う。古いところだと「ローマの休日」(53年)や「旅情」(55年)、最近だと「トスカーナの休日」(03年)。スリラーの「ツーリスト」(10年)なんかもイタリアがメインだった。確かに絵になるのだ。フィルムに焼きつけられた風景のイチイチが、正しく古めかしくてカッコイイ。ここではヴェローナが取り上げられているのがミソだ。ヴェローナはウィリアム・シェイクスピアの古典「ロミオとジュリエット」の舞台としてあまりに有名で、いくら絵になったとしても「ロミジュリ」と比較されたら一巻の終わり。あえて避けられているフシすらあった。『ジュリエットからの手紙』はそれをむしろ利用する。

 ヴェローナには「ジュリエットの家」がある。そこには世界中からジュリエット宛ての恋の悩みの手紙が寄せられるのだという。そして「秘書」が律儀にも一通一通返信するらしい。なんともまあ、少女漫画のような世界があったものだ。作り手はそれに思い切り乗っかり、じゃあ思う存分少女漫画の世界炸裂よ!とばかりにお調子を加速させていく。これにノレるかどうか。いや、ノッたもん勝ちか。

 ある少女が50年前にジュリエット宛てに書いた手紙を中心に回り出す物語。50年前の恋を捜すという展開は、実のところ、かなり気恥ずかしい気分を誘われる。この時を越えた愛こそ真実だ…なんて言われると、冷静に考えて、それまで彼らの人生に関わってきた者たちは大分虚しく、哀しいだろう。ここではそんなこと、スパッと忘れさられる。少女漫画に現実は大敵なのだ。それにこの映画、それを気にさせないようにとなかなか奮闘している。その懸命さに免じて、深くは突っ込まない。

 第一にヒロインの造形が好もしい。記者志望の彼女は恋に恋する乙女のように目を輝かせる。倍以上も離れているだろう老女の恋を捜すだなんて、単なるお節介ではないかと思いつつ、ついジェーン・オースティンの小説のヒロインを連想する。思い込んだら一直線、間違っているなんて思わずに突き進んでいく真っ直ぐさが、ヒロインの輪郭を鮮明にしている。彼女はハネムーンの最中、仕事命のフィアンセに放ったらかしにされる。それでも「私と仕事、どっちが大切なの?」なんてバカなセリフは吐かない。ちゃんとモノを考えられるヒロイン像になっている。

 加えて演じるアマンダ・セイフライドが愛らしい。アン・ハサウェイ級に大きな目(しかも離れ目)を持つセイフライドは、長いブロンドが大変美しく、透き通るような肌も清々しい。ぽってりとした唇はハート型。意外に肉感的な魅力を具えているのもポイントで、もう少しでコブタになってしまいそうなところも、もろ男好みだ。肉付きが適当と言える。

 そして、50年前の恋を探す旅を通じて「女はいくつになっても女」ということが愉快に浮かび上がる。ここで効いてくるのがヴァネッサ・レッドグレーヴの起用だ。ともすればメルヘンババアになってしまいそうな役柄だけれど、背筋をピンと伸ばした佇まいからはそんな言葉、露ほども感じさせない。それどころかちゃんと美しい。出てくる度に画面が引き締まる。少女性を気品良く立ち上がらせるその意味は、大変に大きい。

 クライマックスになってようやくヒロインが老女に書いた手紙の内容が明かされる構成も悪くない。真心がこもっていることが伝わる。その直後、あるパロディが挿入されるのも、分かってはいても楽しい。ステレオタイプのイタリア男像だとか、観光映画と化していた中盤の演出だとか、偶然を運命と見せることに失敗した件だとか、ヘタクソなところは多くても、芯の部分が間違っていない映画の重心は強い。たまにはこんな可愛い映画もいいものだ。





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