ラブ&モンスターズ

ラブ&モンスターズ “Love and Monsters”

監督:マイケル・マシューズ

出演:ディラン・オブライエン、ジェシカ・ヘンウィック、
   マイケル・ルーカー、アリアナ・グリーンブラッド、ダン・ユーイング

評価:★★★




 生き物が巨大モンスターに変身するのは「ランペイジ 巨獣大乱闘」(18年)、モンスターに見つからないように生きる風景は「クワイエット・プレイス」(18年)、生き残った人々のサヴァイヴァルの旅は「ウォーキング・デッド」(10年~)。何より人類の大半が滅亡した世界は数え切れないほど映画で描かれてきた設定だ。つまり『ラブ&モンスターズ』、新鮮味に関してポイントはゼロに近い。でも退屈とは無縁だ。

 登場人物の魅力がそれに克つからだ。ディラン・オブライエン演じる主人公ジョエルはひ弱と言って良いだろう。巨大モンスターを前にすると硬直してしまい、手は震え、おまけに怖くて怖くて涙を浮かべてしまう。その彼が臆病な自分を奮い立たせて恋人のいる130キロ先の土地を目指す。逃げ足だけは早いジョエルの成長は、定石通りとは言え、楽しいものだ。若干オッサンが入ってきたオブライエンも、変に格好つけないので素直に応援したくなる。

 ジョエルが旅先で出会う人々との交流も良い。珍しく良い人役のマイケル・ルーカーはジョエルに生きる術を教える。残り50分でバッテリーが切れてしまうロボットは両親との「再会」を実現させる(「Stand by Me」のBGM付き)。そして何と言っても、ボーイという名のオーストラリアンケルピー。キツめの顔立ちに似合わぬ優しく従順な性格が愛おしく、オブライエンとナイスなコンビネーションを見せる。

 巨大モンスターたちのB級風味も楽しい。ジャバ・ザ・ハット風のカエル。景色に溶け込むカタツムリ。地から這い出るムカデ。人間に操られるカニ。一流の視覚効果を使って表現されるモンスターたちはしかし、ゴジラやキングコングのような風格には程遠く、本能の赴くままに大暴れ。何となく懐かしの「ウルトラマン」シリーズを思わせる着ぐるみ感を漂わせるのが微笑ましい。この世界観にピッタリだ。雄大な自然との相性も、意外や、悪くない。

 ジョエルの命懸けの旅は、恋人のいる目的地に着いて終わり、ではない。ジョエルは恋人への愛のために旅を決意するものの、ここに描かれるのはその枠からはみ出してしまうもっと大きな愛だ。恋人との再会は7年ぶり。その時間の重みを感じさせ、誠実さを守りながら、けれど現実の厳しさも忘れない。それを受け入れた先に見えてくる愛(人間愛と呼ぶことも可能か)が大層気持ち良い。普段何気なく一緒に過ごす人、彼らが傍にいるのは当たり前のことではないと気づかせてくれる。

 大袈裟に言うならば、ジョエルが少年から青年、大人の男へと生まれ変わっていく物語だ。B級テイストに彩られた冒険の数々がジョエルを強くする。単純にモンスターとの対決を楽しむのももちろんあり。けれど、思いがけないエモーションの出現には、おまけに終わらない真実味がある。物語を語ることを忘れていないということだ。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク