少年マイロの火星冒険記 3D

少年マイロの火星冒険記 3D “Mars Needs Moms”

監督:サイモン・ウェルズ

声の出演:セス・グリーン、ダン・フォグラー、ジョーン・キューザック、
   トム・エヴェレット・スコット、エリザベス・ハーノイス

評価:★★




 ピクサー作品を中心に、CGを投入したアニメーションは目覚ましい進化を遂げている。実写ではまだ違和感の多い3Dも、アニメーション映画では有効に働くことが多い。だからもしかしたら、俳優の実際の演技をアニメーション化するパフォーマンスキャプチャーの分野でも劇的に技術が伸びているのかではないかと期待したのだけれど、『少年マイロの火星冒険記 3D』はそれを粉々に打ち砕く。映像に全く感心するところがないままに90分が過ぎてしまった。

 これまでにも散々指摘してきたことになる。人間が気色悪くしか見えないのが、パフォーマンスキャプチャーのいちばんの欠点だと思う。主人公はまだ9歳の少年だ。これから思春期を迎える、子どもが子どもらしくいられる最後のとき。身体はこの後急激な変化を遂げることだろう。それにも関わらず、少年の肌に全く瑞々しさがない。既に40代に入っているのではないかとでも思ってしまうほどに艶がない。身体はまだちっこいのに、肌だけはオジサンな少年。彼が生気の感じられない目をしたままに、冒険を繰り広げても虚しいだけではないか。映画は夢を見させてくれる。とりわけアニメーションはその側面が強い。作り手もそれを意識しているはずで、なのにちっこいオジサン風の少年をずっと見せられるなんて、これは不幸というものだろう。少年を実際に演じたセス・グリーンの魅力も、当然のように殺されている。だーかーらー、アニメーションじゃなくて、実写で見せてくれよ。

 原作となっているバークリー・ブレストの児童小説はどうなっているのか知らないけれど、細部描写もどこかで見たようなものばかりだ。ママをさらっていく宇宙船には特徴と呼べるものが見当たらないし、火星人の姿形は「E.T.」(82年)の親戚みたい(悪玉のバアサンはちょっとヨーダ似)。宇宙服も単純だし、出てくるメカは「トランスフォーマー」(07年)風。少年をサポートするデブは「スター・ウォーズ」新三部作(99年~)のジャー・ジャー・ビンクス並に煩い。中盤には火星人が集団でどじょう掬いする画も出てくる(少々アホの坂田も入っている)。それに何より火星と基地内部の構造が大雑把なのに落胆する。こういうSF要素はディテールが命だというのに。

 重力の表現ももっと頑張って欲しかった。地球の三分の一ほどの重力ゆえに、ひとつひとつの動きに通常とは異なるものが出てくるはずだし、そこに面白さを見出すこともできるはずなのに、せいぜい上手く走れない描写があるくらいで、あとは知らんぷり。

 登場人物が涙を浮かべる場面が何度かある。感情が盛り上がって、堪え切れない。それを極めて冷静に見ることしかできないのが作品を象徴している。ここには生きている実感がない。実際の俳優を使うことなく想像力で勝負した、「イリュージョニスト」(10年)や「ファンタスティック Mr.FOX」(09年)の方に生命力を感じてしまうだなんて、皮肉だ。





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