パーマー

パーマー “Palmer”

監督:フィッシャー・スティーヴンス

出演:ジャスティン・ティンバーレイク、ライダー・アレン、
   アリーシャ・ウェインライト、ジュノー・テンプル、ジューン・スキッブ、
   ジェシー・C・ボイド、ランス・E・ニコルズ、ディーン・ウィンタース

評価:★★★




 出所したばかりの者を描く映画は少なくない。最近だと「ハイウェイの彼方に」(19年)がそうだった。日本にも「幸福の黄色いハンカチ」(77年)なる有名過ぎる作品がある。これはセカンドチャンスを信じる人が多いことの表れではないか。一度失敗しても人は変わることができる。立ち上がることができる。新しい可能性に賭けることができる。『パーマー』はここに大人と少年の交流という、やはり頻繁に見かける組み合わせを放り込む。

 つまり予定調和の話に収まる。観る側が想像する通りのことが起こり、ゆえに主人公パーマーは苦悩し、けれどセカンドチャンスを決して諦めない。少年サムとの掛け合いが彼の心を癒し成長させていく。全てが想定内の範囲でも、フィールグッド・ムービーの気持ち良いツボをしっかり押さえる。それにパーマーの過去を「誤解」や「身代わり」などという言葉を用いて甘くしないのは、作り手の誠実さの表れと言えようか。

 ジャスティン・ティンバーレイクのオッサン化は人は誰でも老けるという現実を突きつける。目の下の弛みと額のシワが年齢を感じさせる。少々寂しい気もするものの、ティンバーレイクはどうやら柔な男ではないようで、その老けをちゃんと役に利用する。12年の服役という長い年月を身にまとい、パーマーの疲れや孤独を常に感じさせる。でもまあ、老けたところで、多少の肉がついたところで、スマートなオッサンには変わりない。ヒゲは無駄な抵抗というもの。

 物語上の問題はティンバーレイク演じるパーマーが最初からまともにしか見えないことか。殺人未遂の過去を持つとは信じられないくらいに、その心は穏やかだ。風変わりな少年にもアッという間に理解を示す。ボウリング大会に付き合うし、一緒にアメフト観戦に出かける。食事の栄養を気にかけ、学校や遊び場へ送り迎えもやってのける。誕生日パーティは開いてくれるし、プレゼントだって忘れない。これでは単なる子ども好きではないか…という気がしないでもない。

 けれど、結局微笑ましい大人と子どもの触れ合いだ。少年を演じるライダー・アレンがとても良い。世間一般の価値観からすると、女の子っぽいものを愛する男の子。おまけにメガネで太っちょ。…と来れば、クソッ、やっぱりか、いじめられっ子だ。でも、彼は持ち前の明るさでクヨクヨしない。「男のプリンセスはいるか」と尋ねられたときの返しが良い。「僕が最初のプリンセスになるかもしれない」。アレンは少年の魂をちゃんと生きている。

 すると、ずっと慎ましく仮釈放期間を過ごしてきたパーマーが映画的な(けれどぎりぎり許容範囲の)したたかさを見せる。自分ひとりで罪を被った12年の貸しを使うのだ。ただし、それは再スタートのとっかかりに過ぎない。結局物を言うのは、これからどう生きていくか、その確固たる覚悟だと知っている。だからパーマーとサムの未来を応援したくなる。予定調和でも気分すっきり、良い後味だ。





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