ビバリウム

ビバリウム “Vivarium”

監督:ロルカン・フィネガン

出演:ジェシー・アイゼンバーグ、イモジェン・プーツ、ジョナサン・アリス、
   ダニエル・ライアン、モリー・マキャン、セナン・ジェニングス

評価:★★




 新居を探しているカップルが奇怪な不動産屋に紹介されるのは、郊外の住宅地。この景観が異様だ。どこまでもどこまでもブルーグリーン色の家が立ち並ぶのだ。美しく整然と…けれど全く生活の匂いがしない。9番を充てがわれたカップルは、この住宅地から抜け出せなくなる。

 不動産屋の正体は何か、その目的は何か、何の力が働いているのか、それを探るのは野暮というものなのだろう。不条理な状況下に置かれたふたりの姿に、何かを感じてくれ。作り手はほとんどぶっきらぼうな態度で、ふたりを観察する。それが『ビバリウム』。

 この空間の恐ろしさは、何もすることがないことだ。いつも快晴で、そこには可愛い雲が浮かぶ。空気も綺麗そうだ。でもそれが何だ。何せふたりしか人間はいないし、仕事も遊びも見当たらない。気が狂って当然の「無」がここにある。だからふたりが思いがけず「音楽」に遭遇する場面にホッとする。彼らと一緒に踊りたくなる。

 ふたりの前には、謎の赤ん坊が出現、ふたりの生活をかき乱す。この赤ん坊、アッという間に成長、赤ちゃんから幼児へ、幼児から少年へ、少年から青年へ。やることと言ったら母親のモノマネ、或いは突然奇声を上げること。こやつとのやりとりの中に人間の暴力性や母性が映し出されていく。だから何なの…という気もするけれど…。

 実のところ、カップルがその抑揚のない毎日に精神を崩壊させていくのと同様に、観ている側もまた、苦痛を感じることになる。画面の単調さ(すぐに役者の顔のアップに逃げる)がかなりの退屈と倦怠を誘うからだ。敢えてジャンル分けするならホラーになるのだろう。けれど、突き詰められるのは恐怖より不快さだ。観る者の心を捉える妖気が欲しい。

 カップルに扮するのはジェシー・アイゼンバーグとイモジェン・プーツ。どちらも役柄の苛立ちを的確に掴まえる。アイゼンバーグは若い若いと思っていたけれど、ちゃんとオッサン化していることを確認。プーツは少しふっくらして、大人の匂いが濃くなってきた。ふたりの間にさほど魅力的な化学反応が炸裂しないのは、あの空間のせいだろうか。





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