トーゴー

トーゴー “Togo”

監督:エリクソン・コア

出演:ウィレム・デフォー、ジュリアン・ニコルソン、
   クリストファー・ハイアーダール、リチャード・ドーマー

評価:★★★




 1925年アラスカ、ジフテリアが大流行した際、大吹雪の中、血清を運んだ犬ぞりチームのリーダー犬、トーゴーとその主人を描く。どこかで聞いた話だと思ったら、同じ題材で別の犬を主人公にした「バルト」(95年)というアニメーション映画があった。アメリカ本土ではバルトの方が人気らしいものの、実はトーゴーの活躍なくして成立しない話のようだ。なるほどディズニーが目をつけるのも無理はない。

 トーゴーはシベリアンハスキーだ。これほど雪や冬が似合う犬種は他にいないだろう。その彼らがそりを率いるだなんて、犬好きなら一度は挑戦してみたいロマンがある。トーゴーの主人を演じるのはウィレム・デフォー。人間も犬も恐ろしい顔立ちだけれど、そりを気持ち良さそうに乗る彼らには羨ましさを感じる。確かにロマンがある。

 もちろん当の本人たちはロマンもへったくれもない。彼らが血清を運ぶのに失敗すれば、多くの人の命が失われてしまう。立ちはだかる自然は友達なんかでは断じてない。いきなり始まるホワイトアウト。急斜面はそりを引っ張って登らなければならない。下りを高速で走っていると、突然現れるのは断崖絶壁だ。凍った湖の上を走ることも強いられる。氷点下50度、最大風速22メートルの世界、犬ぞりチームの旅は命と隣り合わせ。一難去ってまた一難、冒険にはサスペンスが溢れている。

 途中何度も回想が入る。大抵の映画では話の速度を殺してしまうものだけれど、ここでは犬ぞりチームをますます応援したくなる仕掛けとして機能する。トーゴーが子犬だった時代。身体が弱く、囲いの中に入れてもすぐに脱走してしまうわんぱく盛りのトーゴーが可愛い。犬を扱うのはビジネスだと割り切る男の心をトーゴーがいかにして捉えたか。「不屈の精神」や「忠誠」「愛情」が勝利する瞬間が快感だ。

 トーゴーは12歳と若くなく、老骨に鞭打つならぬ、老犬に鞭打つなんてシャレにならないものの、どっこいトーゴーはそんなに柔ではないし、それにデフォーも甘やかすことを拒否するのが良い。ちゃんと愛情で結ばれながら、それぞれの立場をわきまえた態度が素晴らしい。デフォーのシワ顔はますます見応えがある。シワのほとんどが直線なのが、芸術的だ。犬と同じ画面に入ったとき、画になるのも当然だ。

 エピローグ部分が長過ぎるのには文句を言いたい。旅が終わった後、何があったのか。マスコミに讃えられるよりも嬉しいことが起こるものの、その見せ方がくどいのだ。人情の強調は物語を臭くする。さらりと流した方がグッと来ることもある。ディズニーの悪いところが出てしまった感。でもまあ、トーゴーの魅力の前には些細なこと。やはり犬ぞりには憧れてしまうのだった。





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