ラーヤと龍の王国

ラーヤと龍の王国 “Raya and the Last Dragon”

監督:ドン・ホール、カルロス・ロペス・エストラーダ

声の出演:ケリー・マリー・トラン、オークワフィナ、ジェンマ・チャン、
   ダニエル・デイ・キム、サンドラ・オー、ベネディクト・ウォン

評価:★★★




 ヒロインがなかなか格好良い。褐色の肌に切れ長の目。ブラウンの笠とマント、そしてブーツ。剣術の達人で、かつ身体は良く動く。はっきりした物言いも気持ち良い。ディズニー映画のヒロインではあるものの、お姫様要素はないに等しい。いや、ほとんど戦士と言って良いだろう。彼女の名はラーヤ。アジア人なのが嬉しい。彼女の周りには魅力的なキャラクターがいっぱいだ。

 いつも彼女の傍らにいるダンゴムシのようなアルマジロのようなトゥクトゥクはもちろん可愛い。また、ラーヤが旅先で出会う舟を漕ぐ少年、詐欺師ベイビー&モンキー、人情派の中年男…は皆予想外の表情で画面を活気づける。一時的に敵対しても、いつの間にか旅の一員になっているあたりは「少年ジャンプ」的な健全さ。特に「ドラゴンボール」あたりの気配がある。

 …というのもラーヤ、邪悪な魔物により滅茶苦茶にされた国を復活させるべく、神秘の力の宿る龍の石を集める旅に出るのだ。石のある土地ごとに風景が変わり、敵が変わり、戦い方も変わる。砂漠だらけの地は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(15年)を思わせ、人や物が雑多に溢れる夜の風景はそのままアジアの商店街。鬱蒼と茂る森の中、大河を走る場面も東南アジアの匂いが濃厚だ。他にも洞窟や廃墟、未来都市が次々登場。視覚を大いに刺激する。

 世界観はまたもや、分断された今の時代が大いに意識される。人が人を真っ直ぐな目で見られない時代。ヒロインもまた過去の出来事がきっかけで人を信じられない。自分だけが頼りだ。その彼女がいかに再び人を信じるようになるのか、それを見誤らないストレートな展開はディズニーの強みだろう。

 とりわけクライマックス、絶体絶命のピンチに陥った際のヒロインの決断がグッと来る。映画のヒロインとしてはもっと派手に暴れても良いところだろうに、そこをグッと堪えて精神的な戦いに己の身を捧げる。彼女の思いを受け取った相手が何を選ぶのか、映画のメッセージが力強く舞い上がる。

 …と褒めながらいちゃもんをつける。龍(ドラゴン)の演出だ。絵巻物の中には昔ながらの神秘的で格好良い龍が描かれていたのに、実際に登場する龍は何だか「ネバーエンディング・ストーリー」(84年)に出てくるファルコンみたい。いや、ファルコンほど気持ち悪くないのだけど、ディズニー風の可愛らしい味つけが龍のそれとしてイマイチ。お軽い性格も、その方が動かしやすいとは言え、厳しい。もっと威厳を持った描き方もあっただろうに、龍までが喜劇要素たっぷりゆえ、子どもっぽさが強調されてしまった感あり。魅力的に描き出された東南アジアの空気の中で悪目立ちしてしまうのだ。





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