ゴリラのアイヴァン

ゴリラのアイヴァン “The One and Only Ivan”

監督:テア・シャーロック

出演:ブライアン・クランストン、ラモン・ロドリゲス、
   アリアナ・グリーンブラット、オウェイン・アーサー

声の出演:サム・ロックウェル、ブルックリン・プリンス、ダニー・デヴィート、
   アンジェリーナ・ジョリー、ヘレン・ミレン、チャカ・カーン、
   マイク・ホワイト、ロン・ファンチズ、フィリッパ・スー

評価:★★




 主人公ゴリラのアイヴァンの声はサム・ロックウェルが充てている。けれど、ロックウェルには見えない。ドン・チードルに見える。いやホント、目も鼻も口回りも、そのまんまチードルじゃないか。モーションキャプチャーとやらでチードルが演じたのでないのが信じられない。アイヴァンじゃなくてドンと呼びたくなるくらいだもの。

 『ゴリラのアイヴァン』に限ったことではないのだけど、最近のアニマル映画は最新技術を駆使して実写と見紛う動物を生み出すことに全力が捧げられている。にも拘らず、それが実を結んでいるとは言い難い。今回も犬やゾウ、ウサギやアシカ、ニワトリが次々登場するものの、ちっとも可愛くない。表情がわざとらしいのだ。とりわけ目が気持ち悪い。本物の動物は表情を変えないままにもっと表情豊かだ。本物の動物好きが創り上げた動物とは思えない。昨今は本物の動物を使った演技は簡単に「虐待」と表現されることもあるから難しいところだけれど、あぁ、やっぱり本物の動物が良かった。

 映画の背後に動物好きの気配がしないのにはもうひとつ理由がある。やはりこの映画に限ったことではないものの、動物が喋るのだ。英語を話すのだ。彼らは人間には自分たちの言葉が通じないのを良いことに、その心象を開けっ広げにする。哀しいときには哀しい言葉を、嬉しいときには嬉しい言葉を口にし、けれど喋れば喋るほど作り物の動物でしかなくなっていく。つまらない演出だ。

 実話を基にした原作があるようだけれど、独創性からはかけ離れる。サーカスを抜け出そうとするあたりは「マダガスカル」(05年)を思わせるし、子どものゾウが出てくるのは「ダンボ」(41年)を連想する。同じゴリラ物「マイティ・ジョー」(98年)を思わせる画もある。そんな中、ちょいと身を乗り出すのは、アイヴァンに絵を描く才能があるということだ。そしてこれが、現状を打破するきっかけになるところは悪くない。

 大抵の動物脱走映画は、動物たちがそれぞれの身体能力を有効活用したアクションが脱出の鍵を握るものだ。けれど、アイヴァンはアクロバティックな技などただの一度も見せない。大声で吠えるくらいだ。そう、アイヴァンは文化部寄りのゴリラだった。大勢の観客の前で今の自分が望むものを絵に描き出し、周りの思考を変え、自らの運命を選び取っていくのだ。

 ただ、面白いと思うと同時に腑に落ちない部分も多々。アイヴァンが新しい選択に何の疑問も抱いていないからだ。サーカスが完全に悪者になっているのが寂しいし、ゴリラ解放運動が掲げられる件も単純過ぎて嫌だ。何よりアイヴァンを大切に育て上げたサーカス団長との関係が軽く扱われるのが哀しい。団長はまた悪役ではないのに悪役的役回りになる。アイヴァンと団長が額を合わせる場面の美しさで帳消しにしようだなんて、甘いというものだ。アイヴァンと団長の関係に焦点を当てたドラマにした方がよっぽど魅せられたのではないか。





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