抱きたいカンケイ

抱きたいカンケイ “No Strings Attached”

監督:ナタリー・ポートマン、アシュトン・カッチャー、グレタ・ゲルウィグ、
   ミンディ・カリング、リュダクリス、オリヴィア・サールビー、
   レイク・ベル、ケーリー・エルウェス

評価:★★




 主役の男女は身体からその関係を始める。誰もが忙しい現代社会、恋愛している時間なんてどこにあるというのか。運良く相手を見つけられたとしても、信頼を深めていく時間はどこで探せばいいというのか。それならば身体だけの関係を求めるのもひとつの選択だ。バカな雑誌なら“新しい恋愛の形”として喜んで特集記事を組むだろう。バブル時代なら。要するに『抱きたいカンケイ』で取り上げられるのはセックスフレンド(あぁ、なんと陳腐な言葉だ)というヤツだ。そこには幼いなりのルールが存在する。お互い欲しいときだけ求め合いましょう。でも恋愛感情を持ち込むのは御法度。身体だけだと割り切ることが最優先される。もちろんこんなのは都会的な恋愛なんかじゃないし、カッコ良くもない。単に空虚な関係だ。そして空虚なままでいられないのが人間だと誰もが知っている。『抱きたいカンケイ』はそう、題材自体が実はすごく古臭い。

 大抵のロマンティック・コメディは男と女が幾度となく衝突しながらその距離を縮めていく、そこに面白さがある。それと違ってここでの男女は、それをすっ飛ばして、セックスによって互いを知っていく。心と身体は別物だと信じて疑わない愚かな思考がベースに敷かれているとは言え、作り手はある意味セックスの力を信じてもいるのだ。当然ふたりとも互いを意識し合うようになる。なんだ、普通の展開じゃないか。ただ、このままでは男女が衝突するところがなく、いかにも味気ない。…となるとやっぱり、セックスシーンが重要になるはずだ。あの手この手と合体法を工夫して、それにより縮まっていく距離を魅せなければならない。

 ところが、どういうわけだか、そのセックスシーンにちっとも力が入っていないのだ。気合いが感じられないのだ。最初こそナタリー・ポートマンが喘ぎ声を出すところをクローズアップで捉えるショットに感慨深いものを感じたものの、後はMUSIC VIDEOを思わせる軽薄な映像を畳み掛けることで満足している。車の中や病院、昼夜構わずセックスしているところが、ポップミュージックを流しながらダイジェスト風に綴られていく。もちろんそこにいやらしさはなく、ふたりが楽しんでいることしか伝わってこない。それはもう自己満足の世界。やるやらない、それだけ。物語上、そのセックスから生まれるものを見せなければ、嘘だろう。アシュトン・カッチャーは全裸になっているけれど、それはセックスの最中ではない。ナニソレ。

 カッチャーとポートマンはお似合いとは言えない。ただ、それは狙いのような気もする。ミスマッチの妙を内包した気配が時折感じられる。カッチャーがデカくて、ポートマンがちっこいゆえの、視覚的バランスの悪さが、かえって面白い。カッチャーの方が先に本当の恋愛を望むのもイメージと逆で悪くないと思う。

 しかし、何と言っても最大のミスマッチは、ポートマンが割り切ったセックスを望む女を演じているところにあるだろう。子役イメージ、優等生的イメージがこれまでなかなか取れなかったのがポイントだ。「クローサー」(04年)のときほどには効いていないものの、微かに残るその幼児性を利用して役作りしている。最初の行為のとき、薄紫のブラジャーに黒のパンツ姿というスタイルを見せるあたり、よくぞ!どこか幼い肢体が不思議ないやらしさを発散している。ただし、ポートマンは脱がない。見えそうで見えないギリギリラインを狙っても良かったのに。そうすれば、こんな愚かな女の役でも、あぁ、ポートマン自身はスマートだとすんなり納得できたのに。

 カッチャーの父親役でケヴィン・クラインが出てきたのに驚く。が、もっと驚くのはクレジットにケーリー・エルウェスの名前を見つけたことだ。どこに出ていたのだろう。なんとポートマンが憧れるクマのような風貌の医師がエルウェスなのだった。あぁ、「アナザー・カントリー」(83年)は遠くになりにけり。





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