レフト 恐怖物件
レフト 恐怖物件 “You Should Have Left”
監督:デヴィッド・コープ
出演:ケヴィン・ベーコン、アマンダ・セイフライド、
エイヴリー・エセックス、ジェフ・ベル
評価:★★
怖がらせ方は大したことない、フツーだ。いきなり夢オチを連発する冒頭から、怪しい影の動きやキリキリ神経を刺激する音楽で毛穴を開かせたり、登場人物の背後で怪しい何かを動かすことでショックを狙ったり…。その際、登場人物が「そっちじゃないだろー」と突っ込みたくなる不可解な言動を見せるのもお約束だ。
監督:デヴィッド・コープ
出演:ケヴィン・ベーコン、アマンダ・セイフライド、
エイヴリー・エセックス、ジェフ・ベル
評価:★★
怖がらせ方は大したことない、フツーだ。いきなり夢オチを連発する冒頭から、怪しい影の動きやキリキリ神経を刺激する音楽で毛穴を開かせたり、登場人物の背後で怪しい何かを動かすことでショックを狙ったり…。その際、登場人物が「そっちじゃないだろー」と突っ込みたくなる不可解な言動を見せるのもお約束だ。
『レフト 恐怖物件』は所謂、お化け屋敷映画に分類して良いだろうか。舞台がウェールズというのが珍しいものの、基本人里離れた丘の上に寂しく建つ無機質な一軒家の中で起こる恐怖を描く。嫉妬深い夫と何事も演技してしまう妻、そして彼らの娘が家で起こる奇怪な出来事に翻弄される。家が生きているみたいだ。
その家の主らしき謎の男ステットラーが怖がらせに来るのはもちろんなのだけど、もうひとつの大きなポイントは夫も何やら正気じゃないように見える点だ。途中で明かされる過去の出来事。どうやら彼は過去に前妻が浴槽で溺死したらしい。夫が見たことをそのまま受け取って良いのか、怪しむことになる。つまり「謎の男 vs 夫」、この構図を念頭に置くべきなのだ。
どちらが狂っているのか、ふたりの戦いを盛り上げるために用意されたお化け屋敷。時間や空間が捻じれているらしきことが分かってくる。それに関しての説明が一切ないのは首を傾げるところ。そういう家だからという説明では恐怖の奥行きが深まっていかないだろう。家の歴史を紐解いていくのに「悪魔」という言葉を出すのも短絡的だと言える。
夫を演じるのは、なるほどケヴィン・ベーコンだ。撮影当時は還暦前後だろうか。初老と言って良い年齢なのに依然眼光は鋭く、身体も鍛え上げられているのが素晴らしい。角度によってはジャン=クロード・ヴァン・ダムに見えるんだけど。ベーコン起用の理由は、後半に捻りが入るからだろう。ステットラーと夫の対決にはベーコンが必要だった。それに較べるとその妻に扮したアマンダ・セイフライドは役不足だ。濡れた髪のバスローブ姿が綺麗なのがいちばんの見所で、クライマックスではほとんど姿を見せないだなんて勿体無い。
さて、映画の全体像が見えてきても、全ての辻褄が合ったのかどうか、良く分からない。でもそれで良いのだろう。得体の知れない不思議な力が働く場所だったと納得するべきなのだ(宮部みゆきの「おそろし 三島屋変調百物語事始」に収録された「凶宅」というエピソードを思い出す)。禍々しき何かの前で、人は本性を隠し通すことはできない。それを形にしようと試み、不完全ながら完成した映画。60点ぐらいの完成度といったところか。

その家の主らしき謎の男ステットラーが怖がらせに来るのはもちろんなのだけど、もうひとつの大きなポイントは夫も何やら正気じゃないように見える点だ。途中で明かされる過去の出来事。どうやら彼は過去に前妻が浴槽で溺死したらしい。夫が見たことをそのまま受け取って良いのか、怪しむことになる。つまり「謎の男 vs 夫」、この構図を念頭に置くべきなのだ。
どちらが狂っているのか、ふたりの戦いを盛り上げるために用意されたお化け屋敷。時間や空間が捻じれているらしきことが分かってくる。それに関しての説明が一切ないのは首を傾げるところ。そういう家だからという説明では恐怖の奥行きが深まっていかないだろう。家の歴史を紐解いていくのに「悪魔」という言葉を出すのも短絡的だと言える。
夫を演じるのは、なるほどケヴィン・ベーコンだ。撮影当時は還暦前後だろうか。初老と言って良い年齢なのに依然眼光は鋭く、身体も鍛え上げられているのが素晴らしい。角度によってはジャン=クロード・ヴァン・ダムに見えるんだけど。ベーコン起用の理由は、後半に捻りが入るからだろう。ステットラーと夫の対決にはベーコンが必要だった。それに較べるとその妻に扮したアマンダ・セイフライドは役不足だ。濡れた髪のバスローブ姿が綺麗なのがいちばんの見所で、クライマックスではほとんど姿を見せないだなんて勿体無い。
さて、映画の全体像が見えてきても、全ての辻褄が合ったのかどうか、良く分からない。でもそれで良いのだろう。得体の知れない不思議な力が働く場所だったと納得するべきなのだ(宮部みゆきの「おそろし 三島屋変調百物語事始」に収録された「凶宅」というエピソードを思い出す)。禍々しき何かの前で、人は本性を隠し通すことはできない。それを形にしようと試み、不完全ながら完成した映画。60点ぐらいの完成度といったところか。
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