どん底作家の人生に幸あれ!

どん底作家の人生に幸あれ! “The Personal History of David Copperfield”

監督:アーマンド・イアヌッチ

出演:デヴ・パテル、アナイリン・バーナード、ピーター・キャパルディ、
   モーフィッド・クラーク、デイジー・メイ・クーパー、
   ロザリンド・エリーザー、ヒュー・ローリー、ティルダ・スウィントン、
   ベン・ウィショー、ポール・ホワイトハウス、ベネディクト・ウォン

評価:★★★




 冒頭デヴィッド・コパフィールドは問い掛ける。「僕は自分の人生の主人公になれるだろうか」。チャールズ・ディケンズが原作だから物語の質は保証済み。アーマンド・イアヌッチが勝負をかけるのは、いかにコパフィールドの半生を魅力的に演出できるか、だ。そうして出来上がった『どん底作家の人生に幸あれ!』は、あぁ、想像以上にジェットコースター・ストーリーだった!

 とにかく登場人物が多い。場所もころころ変わる。当然エピソードはたっぷり。画面の色も次々変化。コパフィールドはその度、山を飛び谷を越え、僕らの町にはやって来なくとも、乗り物酔いならぬ人生酔いしそうな激しさだ。それにも拘らず、全然ドタバタ劇に見えないのがスゴイ。ダイジェスト版の気配もない。イアヌッチはこの世界観を完全にコントロール、その目まぐるしさを宝箱を開けていく要領で盛り立てていく。嬉しいときも哀しいときも、それが人生だ。母が冷徹な男と再婚したことから始まる一喜一憂の人生が愛しい。

 とりわけ感心するのは、登場人物を見世物にしなかったことだ。一般的尺度で言えば、コパフィールドが出会う人々は奇人変人ばかりだ。けれど彼らを暴れさせるだけの展覧会には決してならない。コパフィールドは彼らとの掛け合いに揉まれ、喜び傷つき、笑い泣き、そしてそれを自身の血肉とする。

 登場人物の配役を見れば、イアヌッチがどういう姿勢で作品に向き合っているかが分かる。コパフィールドを演じるのは、何とインド系のデヴ・パテルだ。他の役も白人や黒人を血縁関係を意識することなく充てがい、しかしそれを気にする素振りも見せない。イアヌッチにとってはディケンズの世界観の中、人物の本質をどれだけ引き出すかが重要だったということだ。ユーモラスな技が決まれば、なお良い。

 ディケンズの半自伝的話と言われていることも関係しているのだろうか、言葉やそれを使って物語る意義にも気が配られる。コパフィールドは幼いときから心に残った出来事を紙の切れ端に書き留める。それが増えれば増えるほど、人生は豊かになる。豊かになるというのは経済的云々とは、全く関係ない。

 目に残る画も多い。さかさまになった船を利用した居住空間。言葉を掲げられた凧が舞い上がる空。運命に導かれるように小さなアパートに会する愛すべき人々。魅力的な人の元には魅力的な人々が知らず知らずのうちに集まってくるもの。人生、こうでなくては!





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