シャッフル2 エクスチェンジ

シャッフル2 エクスチェンジ “Possession”

監督:ジョエル・ベルグヴァール、シモン・サンドクヴィスト

出演:サラ・ミシェル・ゲラー、リー・ペイス、マイケル・ランデス、
   ツヴァ・ノヴォトニー、チェラー・ホースダル

評価:★




 韓国映画「純愛中毒」(02年)のリメイクとのことだけれど、そちらは観ていない。それゆえ反射的に思い出したのは、アメリカ映画「ジャック・サマースビー」(93年)だった(実はこちらもフランス映画のリメイクだけれど)。「ジャック・サマ ースビー」は「戦争から帰ってきた夫が丸っきりの別人に変貌していて(粗野な性格が紳士的になって)、ワーオ、一体全体どうなってるの?」という話。『シャッフル2 エクスチェンジ』はというと、交通事故に遭った夫(兄)とその弟の人格が入れ替わってしまって(夫は昏睡状態。弟は粗野な性格が紳士的になって)、ワーオ、一体全体どうなってるの?」という話。ほら、間違い探しみたい。ただし、受ける印象は全く違う。それは役者の格の違いだとか演出タッチの違いだとかの問題ではない。物語への入り込み方への違い。

 こういう設定の場合、「何故性格が変わったのか」という疑問よりも、「もしかしたら私を騙しているのではないか」という謎がつきまとう。だからそれを軸に物語を転がしていくのは必然的ではあるのだけれど、それだけで最後まで引っ張ってしまうのはつまらない。「ジャック・サマースビー」がそれに気づいて尊厳だとか誇りだとか人間性の問題に踏み込んだのに対し、『シャッフル2』は最後までそれにこだわることしかできなかった。当然物語は表面的な問い掛けを撫でるだけに終始する。後に残るのは冗談のような設定だけとなる。

 そう、この映画、何から何まで冗談のようだ。兄と弟の人格が入れ替わってしまうというとんでも設定以前に、兄弟の描写の落差が酷過ぎて何かの冗談じゃないかと吹き出さずにはいられない。犯罪歴を持つ弟はどこまでも暴力的で、普通の会話が成り立たないほどに乱暴だ。口を開く度に何かを破壊、他人を威嚇することで平静を保っているような人物。兄はというと妻をとことん愛するロマンティスト。妻のバッグに花や愛の言葉を忍ばせたり、週に一回は妻にラヴレターを書いたり、今時少女漫画でも出てこないような愛情表現を連発する。このふたりが兄弟というのも強烈で、それだけでギャグなんである。

 ギャグは暴走する。あんなに下品だった弟が突然良い人に変貌、ヒロインにも優しく接するようになる。そして自分こそが夫だと告白する。そんなこと信じられるわけないでしょう!当然ヒロインは拒絶するのだけれど、変貌が強烈過ぎて、そして確かに言動が聖人的に良い人でしかないので、ヒロインの方が嫌な女に見えてくるのだ。「愛する夫を失いかけている可哀想な妻」のはずなのに、相対的な尺度で嫌な女に見えるだなんて、演じるサラ・ミシェル・ゲラーも「こんなはずでは…」という気分だろう。弟を演じるリー・ペイスにしてみれば、事故前と事故後で全く人格の異なる人物を演じ分けられる機会だったわけだけれど、あまりにも度が過ぎるため、ちっとも面白味が感じられない。これだけ違うなら、そりゃ演じるのも楽だったことだろう。大根俳優でもできる役柄だ。

 もちろん「真相」が用意されている。されてはいるけれど、何と言うか、そのまんまな「真相」のため、なんと強引な物語なのだろうという感想しか出てこない。上手に物語を演出しよう、噛み砕くなら上手に嘘をつこうという気配が感じられない。伏線に見えた、兄の容態と弟の健康状態がリンクするような見せ方も、何の意味もなさない。やる気を見せてくれ。

 久しぶりに見たゲラーはあまり老けてはいないのだけれど、なんとなく沢口靖子を思い出した。顔立ちも似てきたし、何より表情が硬くて、しかもパターンが二通りぐらいしかないのが共通している。綺麗だけれど、つまらない。もちろん、弁護士にはまるで見えない。





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