ザ・プロム

ザ・プロム “The Prom”

監督:ライアン・マーフィ

出演:ジョー・エレン・ペルマン、メリル・ストリープ、
   ジェームズ・コーデン、ニコール・キッドマン、
   アンドリュー・ラネルズ、キーガン=マイケル・キー、
   アリアナ・デボーズ、ケリー・ワシントン、ケヴィン・チャンバーリン、
   トレイシー・ウルマン、メアリー・ケイ・プレイス

評価:★★




 「マンマ・ミーア!」(08年)が苦痛だったのは、中年のはしゃぎを可愛いだとかヴァイタリティがあるだとか言い包めようとしたからだ。主にメリル・ストリープに関して、だ。それに較べると、『ザ・プロム』のストリープは抑えて演出されている方だ。役柄に意地悪要素があるのに無理がないし、「老いたナルシシスト」と認めるのも悪くない。まあ、隙あらばお茶目に見せようするのには閉口するし、キーガン=マイケル・キーとのロマンスはやり過ぎでしかないけど。

 舞台はインディアナのとある高校。「プロムに同伴するのは異性であること」とPTAが通達したことで始まる大騒動。レズビアンのヒロインはそれを受け入れる社会により孤独へと追い詰められる。もう今は何の問題もドナルド・トランプ政権の悪しき影響に見えてくるのは置いておいて、同性愛に対する偏見をテーマに掲げて歌とダンスで魅せる。ヒロインの救世主となるのが、落ち目のブロードウェイスターたちだ。

 ミュージカルの見せ方をどうするか、監督がライアン・マーフィなので、「glee/グリー」(09~15年)風にするしか選択肢はなかったようだ。プロフェッショナルに徹した昔ながらの楽曲とダンスを使いゴージャスな世界観で勝負するのではなく、日常世界にミュージカルを持ち込み、親しみやすさで愛の獲得を目指す。楽曲も歌もカラオケ風にちょい安め。ダンスは正確に揃えるよりも楽しさ優先。皆で歌って踊れば、あら不思議、世界はハッピー、みたいな。まことにおめでたい。

 しかし、より大きな問題は、原作の舞台では通用した設定を映画向きに調整できなかった点だ。と言うか、ほとんど目を向けていないのではないか。舞台では派手に映えた空間でも、より細かなところに目が行く映画では、そのままでは大味で古臭く見えるものだ。「良い人間は他人の利益を優先するものだ」なんて愚鈍なセリフは、だから飛び出す。

 スターたちが可哀想なレズビアンの女の子のためにプロムを用意する展開にしても、たとえインディアナであったとしても大きなお世話、かつ時代錯誤のプランというもの。ゲイになるのではなく、ゲイとして生まれる。これじゃ、それを前面に押し出した、やたらお行儀良いゲイ啓蒙映画だ。したがって、まだ性に目覚めていない年齢の子どもたちに見せる分には良いのかもしれない。

 それにホレ、子どもたちってやたらキラキラしたものが好きだろう。ヒロインが最初のプロムの時に着る水色ドレスが、学芸会の衣装でしかないのにもひっくり返ったけれど、その後ストリープも含めてキャストは皆、キラキラ衣装で大暴れ。本当に衣装デザイナーがいたのか、疑わしいものの、ふむ、子どもたちなら大喜びだ。





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