ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢

ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢 “The High Note”

監督:ニーシャ・ガナトラ

出演:ダコタ・ジョンソン、トレイシー・エリス・ロス、
   ケルヴィン・ハリソン・ジュニア、ビル・プルマン、ゾーイ・チャオ、
   エディ・イザード、アイス・キューブ、メラニー・グリフィス

評価:★★★




 大物ヴェテラン歌手のアシスタントをしながら、音楽プロデューサーになることを夢見る娘の話だ。映画が得意としてきたサクセスストーリーとするのが素直な見方だろう。実際、(やたら可愛く見える)ダコタ・ジョンソン演じるヒロインが才能を発揮していく様を眺めるのは快感だ。

 けれど、それよりも何よりも、『ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢』の肝は、音楽の魅力そのものにあるのではないか。初っ端から圧倒的音圧に怯んでしまいそうな音が溢れ出す。レコーディングやライヴ場面はもちろんのこと、人生の傍らにはいつも音楽があるとばかりに、音が広い画面を覆っていく。音楽と生きる呼吸の相性の良さを思い知る。

 音楽好きの心もマニアックにくすぐる。ラスヴェガスでの定期公演が持つ意味や音楽史に残る名曲・名盤談義、実際の歌手の名前が飛び交うし、観客を置いてけぼりにする危険を秘める音楽用語もばんばん発射。所謂ヴォーカル録りだけではなく、ミキシングやマスタリング場面も取り上げられる。ハイテク機器を使用して音を調整していく画が…あぁ、辛抱堪らん。

 ヴェテランと新人、ふたりの歌手が登場、どちらもヒロインの夢を叶える鍵を握る人物だ。トレイシー・エリス・ロスが母ダイアナ・ロスと並ぶオーラ…いや、顔面力という点では母以上のそれだ。こぼれ落ちる寸前の目。つんとそびえる大きな鼻。真っ赤に塗っても決して下品にならない口。髪のボリュームこそ母の勝利だけれど、もう一歩でニューハーフになりそうなそのユーモラスな顔が画面をピシッと引き締める。ディーヴァな振る舞いの奥に「黒人」「中堅」「女性」歌手ならではの翳りを感じさせる名演。パフォーマンスの華にも驚く。

 新人歌手役のケルヴィン・ハリソン・ジュニアにも驚かされる。「ルース・エドガー」(19年)「WAVES ウェイブス」(19年)でちらつかせた少年性を完全封印、ひとりの男としてヒロインの前に堂々立つ。伸びやかな歌声も素晴らしく魅力的で、ジョンソンとの掛け合いにはロマンティック・コメディの楽しさが溢れる。彼が今後、瞬く間にスター男優の座へと駆け上がっていくのが、容易に想像できる。

 問題は結末の捻りだろうか。まさかそんな秘密が隠されていようとは…。この捻りがあることで話が安いメロドラマ方面に流された嫌いは…確かにある。ただ、それでも音楽の魅力はそれに打ち克つのだ。「驚きがないなら歌う意味がない」というセリフが出てくる。それを信じるからこそ描くことができた展開と見ることもできようか。音楽好きなら心広く受け入れられると思うのだけれど…どうだろう。





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