フェイフェイと月の冒険

フェイフェイと月の冒険 “Over the Moon”

監督:グレン・キーン

声の出演:キャシー・アン、ロバート・G・チウ、フィリッパ・スー、
   ケン・チョン、ジョン・チョウ、ルーシー・アン・マイルズ、
   サンドラ・オー、コンラッド・リカモラ

評価:★★




 パール・スタジオという聞きなれない製作会社が絡んだプロジェクトだ。中国の会社らしい。いよいよアニメーション映画界にも中国が進出、ハリウッドの中国への目配せは当分続くと思われる。まあ、それならば思い切り中国色に染めてしまえば良いものを…と思うのは薄情だろうか。

 『フェイフェイと月の冒険』は、死んだ母に聞かされた月の女神チャンウーの伝説を、少女フェイフェイが証明する冒険に出る様を描く。月での活劇が見せ場になるアドヴェンチャー物だ。…となると、ルナリアと呼ばれる月の描写が重要になることは明白。ところがこれが、ゲームセンターに迷い込んだような、いかにもコンピュータで作られたような、味気ないそれに終始する。

 オレンジ色に輝く翼の生えた獅子に導かれてフェイフェイが迎えられるのは、簡単に言えば、蛍光色の世界だ。生き物も建物もほとんど全てのものがパステルカラーでキラキラと輝く。これを美しいとする考え方ももちろんあるのだろう。金平糖のようで可愛いと見ることもできるだろうか。けれど大半の大人が、そこに夢やロマンを見つけるのは厳しいはずだ。色を光らせれば美しい…そんな単純な思考の美学に支配される。

 それに引っ張られるかのように、悲劇の女神チャンウーの造形もイマイチ。いきなり始まるチャンウーのコンサート。彼女はさながらポップスターであり、やはり夢やロマンを感じさせない存在だ。愛する人と別れてしまったことで性格も捻くれているものだから、彼女が仕掛ける「命」がいよいよゲームめいていくる。後半精神世界に入り込む件で挽回を図るも、時既に遅しの感。

 見入るのはむしろ、序盤と終盤に用意された中国描写だ。建造物。街並み。丸い食卓。ピンポン。月餅。漢字。アニメーションではなかなかお目にかかれないヴィジュアルだ。中国武術が出てこないのが不思議なくらいで、この世界観を突き詰めるべきだった。何ならチャンウーがこの地に降りてきても良いだろう。中国の神秘で魅せないでどうする。

 ちっとも中国らしくないのはミュージカルにも言える。中途半端にアメリカの観客に気を遣ったか、英語を喋る中国人たち。彼らのミュージカルはディズニーが仕掛けるそれと大差ない。中国語が歌に乗るだけで、随分印象が変わるだろうに。それにそもそも、主人公のフェイフェイが中国人に見えない。たっぷり持った睫毛と短いぼさぼさショートヘアの組み合わせは、そのままアメリカ人でも通用しそう。喪失と再生に浸っている場合ではない。





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