レベッカ

レベッカ “Rebecca”

監督:ベン・ウィートリー

出演:リリー・ジェームズ、アーミー・ハマー、
   クリスティン・スコット=トーマス、サム・ライリー、キーリー・ホーズ、
   アン・ダウド、トム・グッドマン=ヒル、マーク・ルイス・ジョーンズ

評価:★★




 どうせリメイクするのであれば、傑作の再現ではなく、駄作の改良を目指せば良いのに。長年言い続けているのに、それが映画界に届くことはない。でもまあ、『レベッカ』の場合、アルフレッド・ヒッチコック版(40年)のリメイクではなく、ダフネ・デュ・モーリアの小説の再映画化とのこと、まっさらな気持ちで作品に挑むべきなのだろう。結局話はヒッチコック版と大差ないけれど。

 いちばんの見ものは美しいヴィジュアルの数々だ。男と女が出会うモンテカルロ場面から眼福必至の画の連打。陽の光を浴びたオープンカーや建築、街並みに心躍る。使用人として登場する女は、それなのにチープなりに綺麗な服を格好良く着こなし、男もスーツと来たらグレイではなくキャメルで攻める。男の住む大邸宅マンダレーに場所を移してからも、陽の光こそ弱まれど、ゴージャスな世界観の展開は続く。女のドレスがいちいち可愛い。

 ここに放り込まれるのがリリー・ジェームズとアーミー・ハマーだ。ほんまもんの坊ちゃんであるハマーの置き手紙作戦により落ちたジェームズが奮闘する。いつもよりブロンドが輝くジェームズ。ハマーはそれを支えることに徹する。ふむ、悪くないカップルだ。ただ、ハマーは老けが進行したか、下半身が少々重たいのが気にかかる。5年前のハマーだったらベストだったかもしれない。

 世界観の見せ場となるのは、ジェームズがハマーの死んだ前妻レベッカの影に苛まれていくところ。マンダレーに散りばめられたレベッカの幻影はもうひとつ怖くなく、無神経な人なら気がつかないレヴェル。もっと彼女の魂、日本的に言うなら怨念のようなものが感じられる演出があっても良かった。嵐の日の舞踏会、遂にジェームズが前妻そっくりになってしまう件など、もっと盛り上げられたのではないか。

 面白いのは、レベッカの姿の一切を見せない点だ。回想場面もない。すると観る側のレベッカ像がどんどん膨らんでいく。そうして膨らみ切ったところで、レベッカのある真実を投下、それを粉々に打ち砕くところにストーリー上のポイントがある。やりたいことは分かるものの、驚きに満ちたそれとは言い難い。機能しているのは、時に軽薄に思われたハマーに対する見方が180度変わる点ぐらいか。

 21世紀版で最も見せたかったのは、ジェームズ演じるヒロインの強さではないか。世間知らずで浅はかに思われた彼女が精神的に追い詰められ、それを乗り越えたとき、今度はどんどん強くなっていく。それならば「格差」についてはもっと念入りに描写するべきだった。男と女の間には簡単には乗り越えられない高い壁が存在する。愛ゆえにそれを乗り越える…ではつまらない。ヒロインの自我の目覚めは、もっと凛々しく、颯爽としたものであるべきだ。





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