魔女がいっぱい

魔女がいっぱい “The Witches”

監督:ロバート・ゼメキス

出演:ジャジル・ブルーノ、アン・ハサウェイ、オクタヴィア・スペンサー、
   スタンリー・トゥッチ、コディ=レイ・イースティック
声の出演:クリスティン・チェノウェス、クリス・ロック

評価:★★




 思いの外、魔女のヴィジュアルや所作が恐ろしい。そうか、原作がロアルド・ダールだから、毒の効きが強めなのかもしれない。中でも魔女界の頂点に立つグランド・ウィッチは、子どもが悪夢にうなされること確実の変態を見せる。それをいつもは愛らしさをアピールするアン・ハサウェイが体現するのは意外だろうか。

 答えは否。ハサウェイの顔は目、鼻、口という顔を形作るパーツがいちいち大きいのが特徴で、その上顔が小さいものだから、ますます各パーツが大きく見えるアニメーション的それなのだ。『魔女がいっぱい』のハサウェイはそれをさらに強調することで、目に焼きつく恐怖とモダンなスタイルを獲得する。怖いのにオシャレ。オシャレなのに不気味。登場してから物の数秒で映画を自分のものにする。

 ハサウェイは何かの鬱憤を晴らすかのようにノリノリだ。子ども潰しが歓びだと語るハチャメチャな魔女に扮したハサウェイは、ここまでのオーヴァーアクトが許されることは金輪際ないかもしれないとばかりに、手足を大きく動かし、太い声を創り、物語の真ん中を遠慮一切なしに突っ切っていく。こういう役柄はある程度キャリアを創り上げた女優が手掛けるもので、あぁ、ハサウェイもいよいよ若手とは呼べない域に入ってきたのだと、ちょっと感慨深く思ったり…。

 ただ、ロバート・ゼメキスがハサウェイの魅力を完璧に捉えられたかというと疑問だ。フィルモグラフィを見れば分かる。ゼメキスは視覚効果を物語の中に持ち込むことを恐れない人で、けれどここではマイナスに働く。ハサウェイが大暴れする件になると、ハサウェイの演技ではなく視覚効果に頼った画作りに走るのだ。許容できるのは口が大きく避けるところまで。視覚効果の多用がゲーム的味気なさに繋がることにはもっと慎重になるべきだ。

 それから魔女と対決する少年があっさりネズミにされてしまうのも、おそらく原作通りとは言え、つまらない事態だ。少年は同じくネズミになった子どもたちと共に活躍…しない。いや、一応役割は与えられるものの、少年の手となり足となるのは、祖母役のオクタヴィア・スペンサーなのだ。いかにスペンサーが優れた女優でも、ネズミになった少年の孤独や個性まではすくい上げられない。

 とは言え、結末にはちょっと驚く。なるほど、これがダールの世界観、人生観なのか。大抵の児童向け作品は、全てが元通りになってめでたしめでたしとなるものだけれど、ここにそんな甘さはない。苦味とも違うか。それこそ毒の味が濃いのだ。ふと思う。同じダール原作の「チャーリーとチョコレート工場」(05年)のようにティム・バートンが監督だったらどうなっただろうか。





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